ミスハタリの薫風と生活

日々起こりうるいろいろな物事に思いを馳せ、何でも屋のようにせっせと動き、のんべんだらりと暮らしています。五月晴れのあとには水無月のしずくがやってきます。井の頭線沿線のあじさいが色づいてきました。もうすこしでまたひとつ歳を増やします。齢と反比例してどんどん前髪が短く揃っていくミスハタリです。


<五月十七日 木曜日>
下北沢「440」にて東京中低域のライヴ。新曲もお目見え、各プレイヤーの見どころも増し、ますます面白くなっていく東京中低域。とかなんとか言いながらも、三ヶ月に一度くらいの頻度でライヴを観ていると、楽しむ箇所がどんどんミクロな部分になっていることに気づく。客席にはどうやら管楽器を演奏するらしいお客さんが多い様子。ヤンチャで、バカバカしく、キュートで、ロックで、誰にでもポップである音楽であってほしい。楽器やら音符やらの細部に興味がわくようなバンドではあってほしくないなあ。というのは至極勝手な見方です。


<五月十九日 土曜日>
高円寺の古着屋「素人の乱」の店先で白塗り姿で踊る東洋さんを観る。町に突出した違和感、ではなく町と調和した空気。東洋さんが作ろうとしている世界は、インパクト勝負ではないんだよなあ、きっと。町とここはどこもつながっているということを改めて思う。この日は、日記を読んでいただいているM島さんからとても魅力的な映画のお誘いをいただいていたのに、気圧のせいか体調が不安定で、ボンヤリしていたら開演時間に間に合わないではないか。ガックリしながら帰宅。ついウッカリ帰りに新しいサンダルを買ってしまう。パルコは通りみちなんかじゃないのに。ほぼ毎日九センチのヒールを数時間も履いているっていうのにまた十センチのウェッジソール。骨盤で身体を支えて歩くのだ、オシャレは気合だ。


<五月二十日 日曜日>
名古屋の栄にて「鬼頭 哲 ブラスバンド」のリハ。そして冬から春にかけてずーっと企画制作をしていたライヴDVD『鬼頭 哲 ブラスバンド の 十月の絶唱』(bild-net)が本日発売。たくさんのひとに届くといいなっと。DVD特集ページもせっせと作ったのでぜひご覧ください。よろしくどうぞ。http://kito-akira.com/brassband_DVD.html

<五月二十一日 月曜日>
学習院大学での山田宏一さんの映画誌講義は、「日活を創った男」梅屋庄吉について。帰宅し、二十六日の名古屋コンサートの舞台関連の打ち合わせ。照明のケンタさん、「照明設営に四十五分、撤去は三十分でやりましょう」と頼もしい言葉。バンドのリーダーはすでに泥酔。


<五月二十六日 土曜日>
昼過ぎに名古屋入り。さまざまな打ち合わせを重ねて午後を過ごし、鬼頭 哲 ブラスバンド 「五月晴パレード」が開演。会場外にもれてくる音を聴きながら過ごす。来場いただいたお客様は二百五十人以上、公演も成功。DVD発売記念ということで終演後には栄のカフェにてパーティ。公演はバッチリ成功した(はずだ)のに、いまいち達成感がないのは、バンドがかもし出す「給湯室」感を随所で目の当たりにしてしまったからかしら。わたしはこのバンドが奏でて見せる音楽は紛うことなき「大衆芸能」であると考えているのだけど、そう考えているわたしが間違いなのかしら。


<五月二十七日 日曜日>
夜中に呑んだ安っすいワインでひどい二日酔い。快晴の下、川沿いの健康ランドの露天風呂で生き返る。ああー極楽ってこういうことね。その後、人生二度目の近鉄特急で大阪へ。赤目あたりの単線の景色にこころが瑞々しく潤う。なんばパークスの「H.P.France」でジャック・ルコー総力祭に遭遇して悲鳴。すてきなあの子を持ち帰ってしまった。夜、鶴橋の「空」にてホルモンを焼きながら酔っ払いの相手。


<五月二十八日 月曜日>
カフェよしみん(有休中)のソファで甘味とコーヒーをいただきおしゃべりに費やす午後。宵の口から、大阪本町、うつぼ公園近くのカフェ「Gazebo」にて三原智行率いるGreen Paradeのライヴを観る。性格の違うトロンボーン二管と骨太のバリトンサックス、清々しいドラム、という構成。サーカス好きの三原さんがサーカス団を始めたくて作ったバンド、とても陽気で切ない音色を奏でていた。わたしがバスビー・バークレイみたいなレヴューをいつか演出するときがきたら、その音楽は三原さんにお願いしようと思っている、たぶん、三原さんとはなにか大事な共通項があるような気がするのだ。


<六月二日 土曜日>
名古屋から十八人がやってきて、鬼頭 哲 ブラスバンド 初の東京ライヴ。ピットイン昼の部にてお披露目。新参にも関わらず、立ち見が出るほどの盛況でした。どうもありがとうございます。三年前の夏にトイレの洗面台を詰まらせて以来、鬼門にしていた「どんじゃか」にて打上げ。ふだんは一杯も呑めない生ジョッキを六杯もかっ込んでゴキゲンでした。みなさまおつかれさまでした。


<六月十日 日曜日>
三月頃からDVD、コンサート企画、仕込みなど、忙しなく続いていた作業がひと段落し、残ったのはいまだ片付けていなかった「本」の宿題。せっせと原稿書きにスイッチング。机作業が続いてすっかり凝りかたまった身体をヨガマットの上でリハビリしながら、頭のねじも多少緩めていく所存です。


五月後半と六月初旬の二十日間のハタリの現状でした。
もうすこしで二十三日がやってきます。今年は家も広くなったし、土曜日だし、数年ぶりにハタリハウスでカレーマラソンでもしようかしら。