2004-07-01から1ヶ月間の記事一覧

僕らが旅に出る理由のひとつに「青春十八きっぷが発売になったから」というものがあるということをごぞんじ? そこに魅力的な温泉が沸いていて、手前まで線路がのびているなら出掛けないでいる理由はない。移動に対する原初的な欲求に従って時刻表と手ぬぐい…

『007/カジノ・ロワイヤル』(1967/英)はどうしてこんなに素敵な映画なのだろう。バカラック・メロディのせい、ウルスラ・アンドレスら美人揃いのせい、馬鹿馬鹿しく愉快な仕掛けのせい、誠実で柔軟な変態役者ピーター・セラーズのせい、デイヴィッド・ニー…

蝶柄の浴衣姿で夕暮れの外出。神田万惣で白桃パフェとホットケーキをいただくあそびをしたり、東京湾納涼船上でおにぎり一個でナンパされたり、夜の思いつきで東京タワーに登ってみたりと、夏の行事に忙しい。大人になったわたしには夏休みはなかなかやって…

部屋の明かりを点けたままちょっとそこまで出かけた夜半過ぎ。振り返って我が家を見上げたら、なんてこったい! ベランダ窓のすだれ越しに部屋の様子が丸見えだ。つまり真夜中の美容体操をする姿も影絵になっていたということ……と全く同じ話を向田邦子のエッ…

蚊取り線香を焚いたら六畳間に夏がやってきた。畳も蒲団もそこで眠る自分のからだも夏休みの匂いがする。中央線で目の前に立っていた女子高生がおもむろにキンカンの瓶をとりだして首筋に塗っていた。よく晴れていた空がとつぜん灰色に濁り出し、ベランダの…

新宿で水着と扇風機を買う休日のはずが、湯河原の温泉で雨上がりの青空を見上げていた。かんたんな話だ。昨夜観た「最長片道切符」の影響にきまっている。さらにその前夜の、上野駅でもよおした突発的旅心もこの伏線だったのだろう。しかし、久々の列車ミニ…

雨に閉じ込められてこのまま家で眠っていたーいという気持をふりきって夜の外出。畑違いのックラブイベントにッひとりでいくだなんてッ!と足掻いたら、渋谷で元気な男の子ふたりを捕獲成功、突如明るい光がさしこんだ。昨日オープンしたばかりの新しいクラ…

あたまにくるとすぐに「義理」とか「仁義」とか「マゴコロ代」とかいう言葉が口をついて出てくるのは中野武蔵野館通いで観た任侠映画の刷り込みなのかもしれません。東京に雪が降って熱燗がよく売れた夜、ハモニカ横丁ではNHK朝の連続テレビ小説のロケが…

川島雄三『洲崎パラダイス 赤信号』(1956/日活)。名作であるのはもう知っているがやはり何度観ても、最初の橋の上のシーンの新珠三千代の髪がほつれてやさぐれた風情といい、遊女と逃げていった夫を十年も忠犬のように待ちつづけていた中年女の轟夕起子が…