2003-01-01から1年間の記事一覧

年末のこと。増村保造『美貌に罪あり』。勝新がただの二枚目役。山本富士子の美貌も、若尾文子のスチュワーデス制服姿も、野添ひとみの湿った黒目も、川口浩の幼い男前ぶりにもキュンとくるが、なによりこれは杉村春子の映画である。旧家最後の盆の夜、近所…

二十五日のこと。クリスマスは南青山マンダラへ、遠藤賢司クリスマス定食ディナーショウ。エンケンバンドのすてきな演奏(と愉快なカラオケ)と、定食の夜。わたしは「デラックスハンバーグ定食」で、隣は「ゴージャスめざし定食」をいただいた。もりだくさ…

土曜日のこと。荻窪に招かれておにぎり娘たちのクリスマス会。「オー!インディア」で買ったナンと、ニンニクとセロリを足して少し煮込んだミートソースを持参して、筍ごはんや豚各煮スープ、ミートパイやしゅうまいやシャンパンなどをいただいた。吉田拓郎…

午前九時前に東中野駅のホームの端っこで総武線沿線の娘っこたちと弁当集会。各々の手作り弁当を時計回りに交換してから出社した。昼に弁当箱を開いたときの驚きといったら。早起きはひじょうにしんどいが、箱の中に詰められた新鮮な味わいと、いつもより一…

絶賛発売中の「座頭市映画手帖」ですが、高円寺の「高円寺文庫センター」と「円盤」にもおいていただきました。どちらのお店もすてきです。今日は円盤で倉知久美夫さんの『I heard the ground sing』を購入しました。倉知さんの声の流れと言葉の選びかたは本…

内田百輭集成八『贋作我輩は猫である』(筑摩書房)より。「君、貧乏と云うものを、そう手軽に考えてはいかん。貧乏と云うのは、立派な一つの身分だ。君如き輩が差し当りの金に窮したからと云って、すぐに貧乏人面しようと云うのは、分を知らざるの甚だしい…

小津安二郎とマリブミルクの一日。有楽町朝日ホールにて、生誕百周年記念の国際シンポジウム。第一部は蓮實重彦氏×山根貞彦氏×吉田喜重監督の座談会。座談形式ではなく、各自が三十分間話していた。松竹の現場で数年間を重ねた吉田監督が、『小早川家の秋』…

テロはテロでもあなたのテロはいつもはがゆいじれったい はやく一緒にやろうと言えば ちょいと待っテロそれっきり 夜になって、中野光座で発見の会「獨々逸イデオロギー」を観た。中野五差路のところにあるうらぶれた光座は、かつて映画館だった場所。階段を…

持ち寄られた映像を観る午前三時。 その1。青池憲司『ドキュメント日本幻野祭・三里塚1971』。これは、復刻盤『幻野 幻の野は現出したか〜71日本幻野祭 三里塚で祭れ』のボックスセットのDVD。非常に面白かった。夜の熱狂よりも明けた朝のけだるさが。夜…

テレビが友達。不意のCS放送は偶然の出会いだ。黒澤明『酔いどれ天使』(1948/東宝)。やくざ者の三船が結核に倒れ、その墓前で小暮実千代と志村喬が交わす会話。「あのひと、足を洗うって言ったのに。わたしの田舎で療養しようと誘ったのに…」「結局、や…

きょう観た旧作映画は、若き新珠三千代主演の宝塚映画『娘十八お転婆時代』と新東宝の喜劇『チャッカリ夫人とウッカリ夫人』。新珠三千代は、最初登場したときにはひどいへちゃむくれなのだけど、十五分後にはすっかり愛らしい魚顔になっている。「お転婆」…

寝ぼけ頭で着物に着替えて、寝袋を下げて昼前に帰宅。帰りに紫色の花を買った。ボディショップでホワイトムスクのトワレも買った。和菓子屋で千鳥饅頭も買った。駅の構内には「冬のムーンライトながら増便」のお知らせが掲示されていた。もうそんな季節なの…

ロールキャベツのなかにサイコロ状に切ったレンコンを入れたら美味かった。大きな鍋ではトマトで、小さな鍋ではニョクナムで煮た。紺色の着物をきて、半幅帯を浴衣のときとは逆の面を出して矢の字に締める。足袋と半襟は真白。衣紋を大きめに抜いて、胸元も…

「座頭市映画手帖」、本日無事に校了/下版しました。ワッショイ! 発売日は12/1に決定しました。入魂の60ページ、これで680円はお値打ちかとおもわれます。だって平岡さんが! 湯浅さんが! 岸野さんが! それから根本さんもすてきな絵を描き下ろしてくださ…

夜、品川の教会で浜田真理子さんのライヴ。余計な装飾が控えられた聖堂は天井が高くて体育館のようだった。浜田さんが「およしなさいよ無駄なこと〜」と歌って「座頭市のテーマ」を録音したという話を前に聞いていたので、もしやと楽しみにしていたのだが、…

護国寺のジョナサンで「なぜ文芸坐の勝新映画祭では『顔役』を上映しないのか、これは名古屋まで遠征しにいくべきではないか」という話をし、会計を済ませて終電手前の地下鉄に乗ろうとしたところで、百五十八円しか残っていないことに気がついた。市ヶ谷ま…

ボックス東中野がポレポレ坐にかわってからはじめてその階段を降りた。『赤目四十八瀧心中未遂』を観たのだ。荒戸源次郎の世界観。いろいろ面白く観ることができたが、百五十分強の長尺には緩急があるようで実は無く、観ているこちらのピントが微妙に合わな…

思い立ったが吉日。胴着を鞄につめて出社した。船橋まで空手の出稽古。学生時代の恩師が指導する道場で、久々に胴着姿になったら「誰かと思ったら、その裾の短さは、おまえか!」とあたたかく迎えられた。実に六年ぶりに空手部後輩が国公立大会で女子優勝し…

妹から「今夜は雪がちらつきそうだ」という連絡が入った。北海道の冬は長い。あの冬の暗さと長さは勘弁したい。でも九月の夏休みに倶知安あたりを各駅停車で走ったとき以来、羊蹄山が見える緑の景色が恋しいのは本当だ。四月から九月まで、かろうじてあの場…

車の往来がほとんどない、やたら幅広い道を走っていた。午後六時。あたりは暗く、天球をのせたいやらしい形をしたテレビ局の建物がライトアップされていた。ここが最寄駅ではないと気づいたのは駅前のバス停を過ぎたあとだった。もう遅い。いそげいそげ。ち…

予定がなければ作ればいい。財布に五千円札を一枚しのばせて神保町へ。青空古本市に出かけた。あのベチャーっとしたハンバーグが食べたいと「さぼうる2」を目指す道すがらにすでに二冊。食後に五冊。二百円か三百円のものしか買っていない。私にとっての掘…

月曜日のこと。 Y氏の青山月曜映画史講座。二学期が始まった。久しぶりの授業はイタリア映画について。一時大戦以前に隆盛を誇ったスペクタクル史劇についてのお話。国内の遺跡を背景に利用した派手な史劇が年間五百本以上も作られていたという。ジュゼッペ…

午前十時に三鷹駅に集合し(わたしが十五分遅刻した)、青梅特快に乗って武蔵五日市へ。ひので山行きの路線バスを途中で降りて、山道をしばらく登れば白岩の滝ハイキング。前日の雨が空気を潤わせ、天気のよい青空が大きな杉の木の合間からのぞいていて気分…

風邪をひいて喉がいがいがして頭がポーッとするので、今日はおとなしく番茶をのんでいます。咳をしてよろけて壁にぶつかって、雰囲気を盛り上げてみたりもしています。

秋のはじめからずっと愉しみにしていた新宿御苑の薪能、ざんねんながら雨で流れてしまった。そのかわりに濡れた足をひきずってバウスシアターへ。昨日につづいて「サラヴァの夕べ」。三日目で最終日の今夜は、アコーディオンをテーマにした長篇『Nuits de Na…

バウスシアターでピエール・バルーのフィルムフェスティバル「サラヴァの夕べ」。世界のすてきな高齢さんに会いに行く企画ドキュメントの四本立てだ。『時と時刻』では緒方拳と写真家ロベール・ドアノーの幸福な三日間、『ムッシュ・スズキ』では青森に住む…

道玄坂をのぼっていく途中、赤い舌を出したねずみが細長くなって死んでいた。またいで数歩あるいてからなんとなしの懐かしさを感じた。飲食あるいは暗黒社会に関わる商売をしていないかぎり、東京の道端でばったり死体に遭うことが滅多にないからなあと思い…

案外いそがしい土曜日。 タンスのこやしの冬服といただきもののマイケル・コースのサングラスを紙袋につめて千駄ヶ谷。明治公園フリマで店を開いている友人の一坪に間借りさせていただく。「五百円均一!」とだけ言い残して委託販売。原宿を横断して神南路地…

満月。目の中にクリアレンズを入れたら灰色の模様までよく見えた。聖橋の上に昇った月にカメラを向けてみたものの、おこがましい気持になってシャッターを切らずに手を下した。下したその手の行く末は、パンチクラスで急性腱鞘炎にかかり、湯船に浮いて、爪…

電車にのって居眠りしていたら、終点についたときに赤い服をきた小母さんがわたしを覗き込んで「終点よ」と言ってくれた。ひとの温かみにふれた日。喉がイガイガするこんな日はトックリセーター解禁日。あたたかいココアを買って遅刻するのもこんな日だから…