音楽を追う日々

十一月、あいかわらずバタバタとしています。ここ数日で聴いた音楽についての記録とお知らせ。

ここ数日間、ハタリが原稿を書きながら聴いていたのは、HAKASE-SUNが担当した来年一月公開の井口奈己監督映画『人のセックスを笑うな』のサントラ盤。初期フィッシュマンズHAKASE-SUNのソロ名義のファースト(リリースされたとき、わたしは雑誌の音楽担当にくっついてインタヴューに行ったのでした、ハカセさんと秋田乳頭温泉郷のお話をしたら、相当な秘湯マニアでびっくり)、それ以来の、きちんと聴いた音源。映画の雰囲気ともあいまって、ちょっと窓の外が寒くなった初冬の晴れた午後に部屋で流すにはぴったり。映画の劇中にも流れる挿入歌「ANGEL」は、TICAの武田カオリさんが歌う、70年代洋楽ヒットソングのような音楽。わたしに車があったならドライブ中のヘビーローテまちがいなし、運転免許もマイカーも持っていないハタリには自転車しかないけれど、自転車に乗りながら鼻唄をうたわせるキラーチューン。映画のオフィシャルサイトや予告編で流れています。このサントラをじっくり聴き込み、ひさびさに音楽関連の文章を書かせていただきました。この映画についてのお話と原稿についてはもうすこし冬が深まったらお知らせします。

【人のセックスを笑うな】


二十一日、下北沢440にて東京中低域のライヴ。頭痛が苦しくて前半で帰ろうかなと思いきや、一部と二部のあいだの休憩が短かったのがありがたく、いくつかの悪ふざけと、いくつかの身のあるサプライズを堪能していたらあっという間にライヴが終了。この後、山梨や名古屋、京都、横浜をめぐるツアーの幕開けであり、いくつかの新曲や新しい試みが用意されていたみたい。しかし、ここ最近、ステージの上がズルズルのユルユルだなあ。それを観て笑っているのはやっぱり女の子のファンなのかなあ。それぞれの演奏、パフォーマンスは見事ながらも、エンタテインメントとしてはちょっとゆるすぎやしねえか。そんな観客の勘ぐりなどよそに、作家や表現者というものはより深く計算をしているものだろうと思うのだけど、ここ最近はバリトンサックスを持ったアイドル集団のような気が(わたしは)しています。それはそれで大事なことでもあるのだけど。

【東京中低域】



二十三日、吉祥寺マンダラセカンドにて加藤千晶「どろぼう失格グランプリ4」。ステージの真ん中にグランドピアノがドーンと構えていて、その左右に七人のミュージシャン。マリンバの音色が心地よかった。川口さんはソプラノサックス、フルート、笛、トライアングルも叩いていたな。関島さんはチューバ、トランペット、他にも何か吹いていたようす。加藤さんのライヴを観るのは、まったくのはじめてだったので、おなじみの旧曲も新曲もわたしには等しく響くはずなのだけれども、まったくの新曲という「かめになったりうさぎになったり」という冬をモチーフにした曲がとてもすてきだった。加藤さんの愛らしいキャラクターが天井の低いマンダラセカンドの空気をなごませ、のんびりと進んでいったのだけど、正直なところ、もっと何かを期待しすぎていたわたし。今度はバンド編成ではないライヴを観に行ってみよう。なんだかんだ言うのはそのあとかなあという気がしている。そうそう、加藤さん、文章や絵がとてもかわいいです。

【加藤千晶】


あたりは冬です。