Music 2.0

渋谷O-WESTにて「Music 2.0」、WATTS TOWERSの約一年ぶりのライヴ。HOSE、WATTS TOWERS、unbeltipo trioの順に登場。それぞれの音楽、それぞれに面白かった。まずはホース、宇波拓さんはミュージシャンというよりもちょっと難しそうなコンセプチュアルな方かと勝手に想像していたけれども、はじめて観て感じたのは実はひねくれの無い純粋なメロディメイカーなのかなあということ。そのどちらがわたしの勘ちがいなのかはわからないけれども、思いのほか清涼なメロディラインと、突然インサートされるノイズ、そのバランスは意外と心地よいものだった。CDを聴いたりライヴ鑑賞の回数を重ねていけば、またちがう印象を受けるのかもしれないけれど、今日のところの初体験はそんな勘ちがい。(故意に)淡々とした、無表情の、ときに稚拙な印象を受けるバンドパフォーマンスは、まちがいなく「故意」であり、そのコンセプトを推し量ろうとするも、「身体=音のはけ口」のようなライヴパフォーマンスを見慣れているわたしはすこし戸惑ってしまった。ライヴで音が生まれる必要性、「即興」とはいったいなんだろうねえ。またHOSEを観てから考える事にしましょう。

ワッツタワーズは、岸野雄一さんが着物で登場。毎度のことながら安定したポップなエンタテインメントショウ。みんなが寝静まった夜中に窓を開けてピーターパンの到来を待っていたら、迎えに来たのは一寸法師で、えーっうそーちがうんですけどー、でもお茶碗に乗って揺れながら進む旅もけっこうファンタジックじゃん、と道中に感じたりするのが、わたしにとってのワッツ・タワーズのショウだ。個々のミュージシャンのたしかな演奏力と表現力、ウキウキさせるメロディ、視覚にも愉快な時間。裏切ることなく安定したエンタテインメントになっているなあと、ブロードウェイのロングランでも観ているかのような気分になる(観たことなんてないのにね)。

そして、ウンベルティポ今堀恒雄さんの超絶ギター、ひさしぶりにライヴを観たけれど、本当にかっこいい! そしてナスノミツルさんの体育会系ベース、佐野康夫さんの静と動のメリハリがきいた、休符が生きたドラミング。ストイックで男くさい演奏ながらも、それぞれにどこか楽しそう。まだこの音楽について語る感想文すら持たないわたしは、ただただ目を奪われ、肩を揺らして踊ることしかできないのだった。

演奏間のDJにはLilmag野中モモさんと、djlp(a.k.a.大谷能生さん)。このライヴが、オープンプライスという哲学のもとに開かれているというのがすばらしいことだと思います。従来の「投げ銭制」とシステム自体は同じのようで、コンセプトはちがうようにかんじる。今年は流行るといいね、オープンプライス

ところで余談ですが、岸野雄一さんの昨年末の「ヒゲの未亡人」公演の舞台にて、ハタリ・ハンドメイド制作のフェルトフラワー「夕顔」をお使いいただきました。ハタリはこの公演は観られなかったのですが、ラストシーンに登場したのだとか。マキノ雅弘次郎長三国志第八部 海道一の暴れん坊』の、石松の最期を観ながらチクチクヌイヌイした特注品でした。