ヘアカットの音楽、二階堂和美

土曜日の夕暮れ、西荻窪「花美容室」にてヘアカット。お店のドアを開けたら、店の中から耳馴染みのあるイントロが聴こえてきた。そして、あのうた声。あれっ、これ、『二階堂和美のアルバム』じゃないですか。店主のクボイさんがハサミに手をかけながら笑う。「いやー、あのあと聴いたら、すっかり気に入っちゃって」。

そうだった、クアトロでの、二階堂和美ツアー(→その11/6の日記はこちら)を観た数日後のこと、オカッパ頭のメンテナンスをしに行った花美容室でニカさんの音楽の話になった。クボイさんは首をかしげながら、「んんっ、なんか知ってます、広島の、お寺の人?」と反応したのだった。以前、お友だちの家で二階堂和美アメリカ・ツアーのDVDを観たことがあるという。「エキセントリックな人ですよね」、うーん、そうね、そうともいうね、でも、とても真摯にうたう人ですよ、「ふうん、良さそうですね、今度聴いてみます」。

そうしたら、クボイさんはちゃんと聴いてくれていた。こういうのってうれしい。そして、一年以上も揃えていたわたしのオカッパ頭は、ひさしぶりにショートヘアになった。北風に吹かれて頭がクシャミした。

さて、二階堂和美さんといえば、一月二十七日のこと、牛込神楽坂「シアターイワト」で、こじんまりとしたライヴがあった。イベント「うたうイワト」の四日目(ほかの日は、時々自動、KILLING TIME、青柳拓次さんだったそうです、見落としてたわー )。ギュウギュウにひとが集まった会場で、段差の低い小さなステージで、ニカさんはよくおしゃべりをし、たくさんの音楽を歌った。ピアノは渋谷毅さん、アコーディオンmama!milkの生駒さん。「あの子のあの頃」に、こころが過去に散歩する。渋谷さん作曲、松本隆さん作詞の「つるべおとし」に胸がうずく。クアトロのときのディナーショウのような装いちはまたちがう、アットホームな、学芸会のような雰囲気。お尻と腰が痛くなるくらい長丁場の贅沢なイベント。

シアターイワトは平野甲賀さんがオーナーなのだそうです。二階堂さんの「ハミング・スイッチ」レコードのジャケ装丁も平賀さんのお仕事だそうです。シアターイワト、シンプルでいて温かみがある、とてもすてきな会場でした。

ショートヘアで軽くなった頭を揺らしながら、『二階堂和美のアルバム』を聴いている。春はまだ遠いけれど、いまの日を楽しみたい、と、そんな素朴なことを耳目で感じた夜でした。

二階堂和美のアルバム

二階堂和美のアルバム

Nikaidoh Kazumi US tour 2003

Nikaidoh Kazumi US tour 2003

【シアターイワト】