サーカスの夜 Cirque du Soleil 『DRALION』

シルク・ドゥ・ソレイユのサーカス『DRALION ドラリオン』を観た。サーカスは昨年あたりから急に気になっていおり、舞台芸術としても、身体表現としても、ものすごく興味のあるもの。数年前に三軒茶屋で観たフィリップ・ドゥクフレの舞台公演、渋さ知らズのツアーで訪れたドイツの小さな町を散歩していて見つけた「サーカスがくるよ」という素朴な看板、いくつかのフェリーニの映画。それらがわたしのなかでのサーカス。

子どものころに、何かの博覧会の特設会場で、テントのなかで繰り広げられたサーカスを観たことがある。規模も小さく、さほどドラマチックなことはなかったように思う。それでもたしかワクワクして観たような記憶がある。そんな田舎のチビッコから大人まで、サーカスに魅せられる人は世界に多く、サーカスを観るために海外旅行をし国内で行なわれるサーカス公演は同じ題目でも何度も観るという知りあいのミュージシャンは、「ゆくゆくはサーカス団」という想定で自分のバンドを作ってしまった(主に大阪で活動している「Green Parade」の三原智行さんがそういうひとです)。

昨年、その三原さんに連れていってもらったユーミンの「シャングリラ」は、ドギモを抜かれるようなサーカスだった。大阪城ホールのなかにひとつのおとぎ話の世界があった。派手な舞台と、たくさんのダンサー、そそしてもちろんユーミンの歌声と生演奏があった。今までにも何度も来日し、いつも大仰なコマーシャルをうっているシルク・ドゥ・ソレイユ、これもきっとド派手なスペクタクルだと思って臨むと、意外にもシンプルな印象。もちろん舞台は立派だし華やかで、世界規模のサーカスなのだけど、思いのほか、ダンサーやパフォーマーの身体性が際立った構成だった。舞台装置でごまかすのではなく、身体のしなやかさやすごさを見せつけられたサーカス。勝手に想像していた大仰としたイメージを、良い意味で裏切られた。とてもおもしろかった。

そんな夜は、ひさしぶりに、渋さ知らズで出たドイツのメールスフェスティバルの舞台を思い出した。特設のサーカステントのなかはギュウギュウの熱気にあふれ、数千人のお客さんがステージを見ていた。あのとき、裏方のわたしが罰当たりにもステージに立ったことは、たぶんわたしが年をとっていろんなことを忘れてしまったときにも、とてもすてきな思い出としてわたしを喜ばせると思う。わたしがいま、サーカスになにか想像力をかきたてられていることにも、あの夜の熱狂が少なからず関係しているような気がするのだ。

→【Cirque du Soleil】

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