雨で湿った井之頭公園は土と水の匂いが鼻腔を冷やしこれが意外と気持良い。さて、黄色い電車に乗って女の子がふたり吉祥寺にやってきた。井之頭公園を散歩中、「アムールヤマネコとアジアのヤマネコ展」というポスターに惹かれて公園内の動物園(井の頭自然文化園)に入った。大人四百円、銭湯入湯料と同じ額で動物を眺められる。これでもかというほどのカモを見て、エビやカエルも見て、それから歩道橋を渡って本園へ。吉祥寺に住んで五年経つのに本園に入ったのは実ははじめてだった。予想を裏切る充実した園内に感動。リスが好き勝手に跳ねまわる小路を歩き、サル同士の関係を探り、アナグマのふくよかな胴体に心を奪われた。肝心のアムールヤマネコはアパートの部屋にいても「あ、ちょっと手足の逞しい猫チャンね」と思ってしまいそうな愛敬もあり。お目当ての今年四月に生まれたばかりの子は奥の部屋に隠れていて見えなかった。そのかわり、五月に生まれたマーラのチビッコは見えた。アライグマの黒眼がちな顔を眺めていたら二年前に他界した実家のシャム猫シイナさんを思い出しつい涙目に。あの子はかわいい猫だった。家族の愛をまっすぐ受けとめたためにムクムク太り、間抜けな仕草でお茶の間を賑わせてくれた。そういえばシイナさんが死んだ日に花屋で買ってきてその名をつけたたキャットテールの鉢植えが今年はじめての赤い花をつけた。植え替えも成功した様子で、やっと心が通いはじめた模様。とてもうれしい。

おともだちを家に招き入れて、廣澤虎造のレコードをかけたりしてもてなす。献立は、韓国のり巻とうなぎのり巻、かつおだしの温豆腐、アボガドとチーズのわさび醤油和え、茄子とトマトのニョクマム漬け、薬味みそ、ごま昆布、冷奴。ベランダのミニレタスを収穫してお皿にのせたのだ。お土産に近江屋のレーズンサンドと中国茶葉、梅酒部先輩からは梅酒と梅シロップと梅ケーキをいただいた。「おもてなし」はする方もされる方もたのしいものだ。こういう機会はもっとあっても良いと思う。吉祥寺ハタリハウスにあそびにきたいひとは手を挙げて!