htr2003-08-01

またまた、きょうかたるきのうのこと。フィルムセンターで市川崑『女性に関する十二章』(1954/東宝)。伊藤整の同名ベストセラーをモチーフに、十年来の付き合いの恋人同士があらゆるタイミングが合わずになかなか結婚に踏みきれないうちに周囲を巻き込んでてんやわんやの騒ぎとなる、若人の日常茶飯時仕草のヤキモキさえも洒脱に感じる恋愛指南映画。色恋はタイミングを逃すと次の機会がなかなか訪れないものだーよーねーと生意気にも知ったような顔して愉しんだ。津島恵子と小泉博のカップルに、上原謙演じるうさんくさい舞踊評論家や、特別出演の徳川夢声らが絡む。銀行のオールドミスに化けた久慈あさみのコメディエンヌぶりも愉快。伊藤整自ら「ベストセラーの著者」として声で出演し入れ子的な喜劇構造を作り出している。ちなみにこの本の装幀は花森安冶。