htr2003-10-19

午前十時に三鷹駅に集合し(わたしが十五分遅刻した)、青梅特快に乗って武蔵五日市へ。ひので山行きの路線バスを途中で降りて、山道をしばらく登れば白岩の滝ハイキング。前日の雨が空気を潤わせ、天気のよい青空が大きな杉の木の合間からのぞいていて気分がよかった。正午すぎ、滝壷近くで昼食。持ちよられたおにぎりは、「赤貝めし」「たけのこめし」「梅めし」「わかめ入り稲荷寿司」の四種類。鶏からあげや煮大根やレンコンきんぴらをわいわいはしゃいで食べ尽くす。サツマイモを素揚げして塩をふったものと黒蜜にからめたものを持っていったら、なかなかの好評で朝の遅刻を許していただけた。満腹になってからバス停まで戻り、歩いて「ひのでつるつる温泉」へ。ここのお湯は丸くてやさしいからすきだ。そしてなによりマッサージ機の充実ぶりが有難い。火照ったからだで寝転がり、全身を三十分、足裏を五分。寝転がるわたしを放って、友人たちはジュースを飲みながら歓談していた。午後四時に一度バスで駅まで戻り、最後のレジャーに出掛ける。駅前に停まっていたワゴン車に乗り込んで、ふたたび山奥へ。

「あきるの芸術祭」という地域イベントの、最終日の夕時に渋さ知らズが登場するときいたのだ。会場は民家途絶えた山奥の入口にある渓谷のキャンプ場。大きな旗がかかっていたり、色々な布きれを着た電灯がともっていたり、ふしぎな雰囲気の集落ができていた。ジャーンとギターが鳴ったとき、駆け足になったのは坂道だったから。今宵かぎりの山底の村にふしぎな音楽がやってきた! 小さな屋根がついただけの簡素なステージに、マンダラ2の「渋さ知らズ劇場」よりもやや人数が多いくらいの編成。足元にはいつもよりも多い缶ビールが転がっていた。フジロックのオレンジコートや大人気大箱オケを避けてきたので、七月飯田の「天幕渋さ」以来のライヴとなった。髪の毛を切った不破さんはすっかり元気そうで、めずらしく客側を向いてたくさん煽っていた。それがうれしいから気持ちよく踊った。いつのまにか連れの友人が消えていたので、振りかえってあちこち目で探してみると、屋台の近くで甘酒を飲んでいた。そばにはハッシュパピーみたいな犬がいた。その犬は女の子が撫でるとごきげんな様子でしがみついてきた。山の夕暮れが夜になって、あたりに白熱灯のやさしい光がともった。音楽が愉快に鳴っていた。音響設備は決してよいとは言えず、すぐハウリングを起こしたし、せっかくの音は森の中にすぐに散っていった。それでもたのしかった。山の夜はしんしんと冷えていくのに、非常にあたたかい感じがした。滅多にやらないアンコールに珍しく応えたのは、地域祭りに対するサービス。不破さんはいつも正しい目でひとを選ぶ。不破さんはほんとうにかっこいいなあ。