ピナ・バウシュ・イン・マイルーム

htr2006-08-13

日曜日の夜、テレビの「芸術劇場」でピナ・バウシュの「カフェ・ミュラー」を観た。今年四月の来日公演「春の祭典」と「カフェ・ミュラー」。必要な持ちものが足りないという情けない理由で観にいけなかったミス・スカンピン・ハタリは「舞台は生もの!」なんて言いません。テレビ放映、なんともありがたくうれしいじゃないの。「カフェ・ミュラー」は、そう、ペドロ・アルモドバルの『トーク・トゥ・ハー』の冒頭で、ヒロインが劇中劇として観ていたピナの舞台だ。ピナ本人ともうひとりの女性が薄暗いカフェを舞台に、いくつもの椅子をなぎ倒しながら倒れこむように踊る。踊る、ということがどういうことか、それは身体の動きだけではない、もっとセンシティヴな部分が司っているうねり、そんな印象をうける。以前観たビデオ『ピナ・バウシュの世界』で、ブッパタール舞踊団のダンサーたちは語っていた。「愛とは? 愛とは……」。答えがどこにあるのか、そんなものは実はどこにもないのかもしれないけれど、ピナ・バウシュとブッパタール舞踊団のダンスは、愛らしいユーモアとまるで人生そのものみたいな動作の反復で、観ているこちらのやわなハートを強くゆさぶる。涙が出るのも無理ないハナシよ。

http://d.hatena.ne.jp/htr/20031205