暮れのごあいさつ

年の瀬になってオカッパ頭になりました。町でキノコ型のアタマが左右にフラフラ揺れているシルエットをみつけたら、「ハタリ!」と呼んでいただければくるりと振り向いてごあいさつします。イエイ!

昨年の春にフリーになったミスハタリ&ハタリブックスですが、昨年の半分は海外にいたのでいまいち実感が湧かずに二〇〇五年が過ぎました。そして今年も結局南極フリーランスなミスハタリで、ときに(いや頻繁に)明日のお米の心配をしながらも、のん気に幸福に暮らすことができました。お仕事でお会いできたみなさま、身近でお会いできたみなさま、支えてくれたり笑いとばしてくれたりしたあらゆるお友だちに、感謝とラブを贈ります。

今年のハタリブックスのお仕事を思い返すと、ハタリブックス自力出版の「座頭市映画手帖」がめでたく完売(あ、でも円盤にあと五冊とハタリオフィスにもすこし在庫がありました)。バレンタイン時期には恵比寿のシルバーアクセサリーのお店「S.O.S fp」のラブなツールを作ったり、秋にはいくつかの雑誌で取材をしたり原稿を書かせていただいたりもしました。封印していたハタリフードサービスを召喚していただき、なんとスパークスの来日公演でロン&ラッセルにカレーを振舞うという今年いちばんのラッキーもありました。渋さ知らズしかり、この来日公演しかり、バックステージでの出来事は勉強になることばかりです。

ハタリブックスとしての書籍のお仕事は、『Alternative Movies in Japan 日本映画のパンク時代 1975-1987』(リンディホップ・スタジオ編/愛育社)の編集補助や、『パビリオン山椒魚 Annex』(冨永昌敬、菊地成孔、黒田光一著/河出書房新社)の編集オオサンショウウオ研究をしたり(赤目四十八瀧のオオサンショウウオセンター、たのしかったです)と、面白いお仕事に関わることができました。魅力的な方にお会いできたこと、そし同業を営む仲間や先輩のお仕事からいろいろお勉強させていただきました。今年いちばんの目玉である『平岡正明のDJ寄席』(愛育社)の編集作業で夏の数ヶ月が過ぎ、それでも秋にめでたく出版できたのは平岡正明さんの寛大さあってのことですし、そして一緒に戦ってくれた頼もしい友人たちのおかげです。すばらしい本に関われたハタリブックスはほんとうに幸福です。ありがとう。
その一方で、初夏から制作で関わり始めたバンドのお仕事も今年の大きな柱でもありました。とくに秋に名古屋千種文化小劇場で行なった「十月の絶唱」公演はわたしにとっても今年いちばんの大仕事。ゆかいな音楽家たちを乗せた大船の舵をとるなんて大仰なことは未熟なアタイにはできないけれど、船尾に腰掛けて船員の安全を見守るくらいのおかあちゃんマインドを持っていけたらいいなと思っています。そのバンドの名前は「鬼頭 哲 ブラスバンド」といいます。よろしくどうぞ。

二〇〇六年の私事としては十二月に引越を決行。八年間住んでいた住まいを離れ、東京都杉並区に新ハタリハウスを設けました。心機一転というほどではありませんが、新しいハタリオフィス(兼台所)で机仕事に精を出す心意気です。二〇〇七年も日常生活と仲良しな物書きとして、のんびりとやっていく所存です。あ、そうだ、今年になってはじめたクラリネットもまじめに稽古していきますので、ハタリ・オン・クジャリネットをからかいたい方は声をかけてくださいね。

みなさまそれぞれよいお年を。来年もよろしくおねがいいたします。

ミスハタリ拝