渋さ知らズの四月馬鹿

渋さ知らズの四月馬鹿。ドラムス三台、パーカッション二台、ギターが三本、ベースが二本、トロンボーンが三管……と舞台から溢れる楽器とプレイヤーを数えている途中で、あーもーどうにでもしてえーと思ってしまうほど過剰なサービスが恒例の「四月馬鹿」。ブラザーイゴー、今年もすてきでした。イゴーさんが登場したとたんに、見慣れていたはずの世界が急に地下三十六階くらいまで潜っていく。帰り道、口々に「イゴーさんはかっこいいなあ」とつぶやきながら、荻窪で途中下車し、安い焼鳥を食べながら、芸の道について考えるのだった。芸事ってのは一朝一夕で習得できるものではないんだよなあ、生きざまそのものなんだよなあ、と、スクリーンで仕込み杖を振るう勝新座頭市を観るたびにビシィと感じることとおなじことを目撃してしまったのでした。「運転手は僕だ 車掌は君だ」と、今年も「サリン」を熱演。イゴーさんの仁王立ちを見るとほんとうに、もう、背筋がシャンとするのよね。