五月の風景5 改めて勝新座頭市

五月十五日、火曜日、くもり、雨、そして晴れ。

雨の日は湿度のせいか気圧のせいか、いやどちらも言い訳だろうけれど、からだが鈍くてなかなかふとんから起き上がれない。十時ころから机仕事をはじめ、鬼頭ブラス(5/26)の庶務など。本番まであと十日、いちばんの懸念だった照明スタッフも決まり、チケット予約も増えてきてなんとかホッと息をつく。お客さまへ配るプログラムの編集や、終演後のDVD発売記念パーティの案内、搬入搬出の段取り、パスや整理券の作成など、細かい物事を片付ける。昨秋の「十月の絶唱」公演では、事前準備も当日対応もひどく大変で、もちろん終わったあとの充実感はたしかに大きかったものの、ステージの裏側に山積みになった膨大な仕事量(と、まあ、いろいろ)に、二度とホール公演の制作なんてやるものかとも正直思ったのだけれど、懲りずにわたしはまたやっている。二度目になるとバンド内の状況も多少はわかってくるし、労力の配分も見えてきたのか、前回に比べると今回はだいぶん楽だ。きっと当日の段取りも多少はよくなるのではないかと思う。とはいえ、一日の机仕事の半分以上をこのバンド関連の仕事が占めている状況は相変わらず。

午後は頭を切り替えて、勝新座頭市にスイッチオン。角川大映から出ていたDVDボックスセットの特典付録のDVDを観る。大映で『座頭市』に関わった田中徳三、井上昭ら監督、キャメラマン森田富士郎、そして妻であり女優の中村玉緒らが勝新座頭市について語る四十分。誰もが、勝新座頭市に恋をしている。それはわたしも同じだ。市っつあんにほれ込んだからこそ「座頭市映画手帖」なんて本を作ってしまったわけだし、いまだ市っつあんを追いかけている。恋の行方について考える。恋ってやつは、どんな形であれ、成就させなきゃ意味がないのだ。