ビリーと絶対

月曜日、午後七時過ぎにすべり込んだ学習院大のY氏の映画誌講義。本日のお題はビリー・ワイルダー、ちょうどAFI功労賞の映像が流れていたところ。

AFI映像を観るたびにいつも感じることは、なんと祝福に満ちた場なのかということ。賞や権威を讃えるのではなく、絶対的に映画に愛されたひとへの祝福。出席している役者、スタッフ、映画人、あらゆる人々が、受賞者イコール「映画」を愛し、その場に居合わせた自らの幸運を祝っているようだ。そして会場のスクリーンに映し出されるのは、『アパートの鍵貸します』(1960/米)のラストシーン。ようやく結ばれるジャック・レモンシャーリー・マクレーン。愛のはじまりに抱擁にもキスにも溺れることなく、カードゲームをはじめる恋人たち。あんなラストシーン、ほかにない!

檀上で、老いビリー・ワイルダーは言った。
「諸君安心したまえ、我々は消耗品ではない」

ビリー・ワイルダーの映画の数々、ひさしぶりに観返したくなった。