クジャリネットとお囃子

仕事や時間を言い訳に、ずいぶんクジャリネットにさわっていなかった。昨日、家で吹いてみたら、指は鈍いし、頬や唇はすぐ疲れるし、ひどいありさま。パプーと音を出したくても、ここは住宅地の賃貸住宅。反省と欲求で悶々とした夜を過ごし、今日はクジャリネットとお出かけの日ようび。運良くスタジオが空いていたので九十分間のクジャ練習。へボー、パプー、ボヘー、と吹いているうちに、なんとか立体的な音が出るようになってきた。これからはこの空白を取り戻すべく特訓だ。

クラリネットの音色ってやっぱりすてきね。わたしのクジャリネットでさえ、ちょっぴりうっとりするのだから、上手で味わいのある、あのひとやあのひとの音色なんて、本当にすてきなのよねえ。

夜は高円寺の「東京阿波おどり」を見に行く。今年で五十一回目というお祭で、町全体が驚くほどの熱気で、二、三度気温が高くなっていたように感じた。つま先足立ちで人と人の合間から踊り子さんの動きを眺め、景気の良い太鼓の四つ打ちと、跳ねるようなお囃子にこころが賑わう。そういえば、数年前に出会ったもうひとりの「ふみちゃん」が、高円寺阿波踊りを見て突然踊り手になると一念発起して、ある連に参加したらしいのだけど、あの彼女は汗を流して笑顔で踊っていたのかな。祭囃子を聴きながら、わたしはどうにも欲張りだから「やりたいこと」と「やらねばならないこと」が山積みの飽和状態になってきているけれど、たとえ人生を整理する必要があるとしても、わたしにとってのお囃子であるクジャリネットは整理したくないなあと思ったのでした。