シルク・ドゥ・ソレイユ『ZED』、ふたたび

舞浜にシルクのレジデントショウのためだけのシアターができ、その『ZED』(CIRQUE DU SOLEIL TOKYO THEATRE "ZED")トライアウト公演を楽しんだのは九月のこと(→)。終演後に「しまった、これは何度でも観たいじゃないか!」と思ったとおり、三ヵ月後にまたふたたび訪れてしまった。グランドオープンから二ヶ月が過ぎ、すでに演目だって知っているのに、まだまだワクワクさせてくれるのはさすがの度量。実際、トライアウトのときとはちがうアレンジがなされ、より快適にショウを楽しめるようになっていたし、アクターやダンサーたちの動きもスムースになっていたと思う。

次の展開を知っていてもなお、やっぱりあのオープニングには歓声を上げてしまう。そして丁寧に大胆に洗練を重ねながら繰り広げられるショウのひとつひとつに、人力の偉大さと、エンタテインメントの妙味を味わい、拍手の連続。今回感動したのは、筋肉自慢のふたりの演技。万国びっくりショーのような奇特な演目に息を呑んだ。赤と水色のキュートな女の子たちが宙を舞う、その姿に恋をする。迫力の綱渡りや華麗な空中ブランコ、アクロバティックなロープやジャグリングも見事。もちろんシアターそのものの空間性もすばらしく、楽隊が奏でる躍動感たっぷりの音楽にも煽られる。前回とはちがう席(前回はやや上寄りのセンターで、今回は上手寄りのやや前方)で観る景色は、ダンサーの表情のようなミニマムな面も、演目全体のスケールも、まったく目新しくて楽しめた。席によって印象もさまざまに変わる、これはディズニーお得意の、アトラクションのひとつなのだ。

そして計算され尽くした大団円のクロージングでやっぱりうれし涙。勇み足でつい、カーテンコールより早く立ち上がって拍手してしまった。アクターやダンサーがすばらしいのは目に見えているけれど、わたしはやっぱり舞台裏の、作家や演出家や舞台監督の偉大な仕事ぶりに感服する。

オフィシャルグッズの品揃えも前回とはすこし変わっていたので、タンブラーを購入。晴れた日にはニットポンチョから首を伸ばして、コーヒーショップで淹れてもらった温かいコーヒーやカフェラテを、公園の日なたでのんびり飲んでいます。

 

枯葉を踏むブーツの足元はカンカンのステップ。仙骨打撲の痛みもようやく癒えたので、シルクのステージの偉大さをなんども頭のなかで再生しながら、わたしのダンスと、舞台裏仕事の両方に、しっかり精を出そうと思う冬の日です。

【CIRQUE DU SOLEIL TOKYO THEATRE "ZED"】