せわしなくて緻密 「Max Tundra JAPAN TOUR」

大阪ではライヴハウスやクラブよりも、カフェやピザ屋や美容室でライヴを観ることが続いたので、ライヴハウスに行くのは新鮮。暗く殺風景な大阪駅の北側、JR貨物梅田駅の構内に積まれたコンテナを眺めながら(大阪は町の中心地に貨物駅があってすばらしいね)、梅田Shangri-Laへ。数日間つづいてきたMax Tundraのツアー、大阪場所にはマックス・ツンドラとSPACE PONCHとrei harakamiの三組が出演。遅刻してスペースポンチを見逃し(ギャー!)、岸野雄一さんはすでにレーベル社長の顔をして物販の机の前。「いま三曲目がはじまったところ」と聞いて、あわあわとフロアに入り、ビールを注文。

【Max Tundra JAPAN TOUR】
http://www3.tky.3web.ne.jp/~gamakazz/max/index.html
http://d.hatena.ne.jp/htr/20100107#p1

マックス・ツンドラ、事前にすこしだけ予習をしてはいたものの、そのステージは想像以上にポップでキュートで、複雑だった。おでこの広いおっさん(と呼ぶには若いかな)が、ステージ上にキュッとコンパクトに寄せ集めてセッティングしたキーボードやギターやなにやらいろいろの機材、ピアニカ、小さい木琴(鉄琴?)、笛などを、いそがしく持ち替えて演奏する。曲にあわせてダンス、曲にあわせて観客を煽る。自分で作った曲、自分で演奏している音楽なのに、自分がいちばんのファンのようで、ひとりで何役も演じているかのよう。そのパフォーマンスは奇怪にも見えるし、キュートにも見える。ついつい目を奪われるけれど、根底のトラックはまじめなテクノぶりを発揮し、トップに現れるアイディアのヴァリエーションが豊かで、エンターテイナーとしての誠実さと引き出しの多さに感動。

ときどき、ひとりの身体をもちながら三人ぐらいの人間がぎゅうぎゅうに詰め込まれたようなひとに出会うことがあって、そういうひとはたいてい過剰で、せわしなかったり、異常に饒舌だったりして、まあ、一見そんなようでいてそう見せたいだけのニセモノも多い世の中ではあるのだけれども、マックス・ツンドラは明らかにひとりの身体には収まらないだけの欲望と欲求と思いつきにあふれていた。そしてひとつひとつの手仕事は実に丁寧。緻密な打ち込み、きれいなメロディ、ユーモラスなアクション、わたしたちを踊らせるパッション。ブリリアント! 出会えてよかった。

Parallax Error Beheads You

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