「Meets Regional 12月号」で梅佳代さんのインタヴューをしました

新宿を発ったバスが大阪駅に着いた冬の早朝から、この町で暮らすようになってもうすぐ一年が過ぎる。時間の流れが速いのか遅いのかはわからないけれど、密度でいえば濃く、気分でいえば幸福で、肌なじみでいえば想像していた以上にここの暮らしに親しんでいる。

大阪に来てさいしょの二ヶ月は専業散歩人、二月に店を開けてからは「モハキハ店主」の肩書きでスープ仕立てのカレーを煮込んだりコーヒーを淹れたりする日日が一年の大半を占めてきた。とはいえミスハタリのなりわいは、やっぱり「紙とペン」の仕事。雑誌の取材でもコラム記事でも、お店の惹句でも、自分の結婚パーティの招待状や台本書きでも、なんでもやっぱりとってもたのしい。


浅利芙美名義、ミスハタリのライターとしてのお仕事をひとつご紹介しましょう。本日発売の「Meets Regional 12月号」で、フォトグラファー梅佳代さんのインタヴュー記事を書きました。

夏に発売された新作写真集『Umep』発売と展覧会「ウメップ:シャッターチャンス祭り」(東京表参道ヒルズ/大阪HEP HALL)のタイミングでの取材。梅佳代さんは奇抜でも不思議でもなく、実に正直で、フラットなコミュニケーションをとる人。無防備なくらい素直なところと鋭角な自己主張を併せ持っていて、それは能登の田舎で育った恩恵なのではないかしらと感じました。それは作品にもよく現われているようで、あらためて彼女が撮った写真群を見てみると、なぜこんな写真を撮るのか(そういうチャンスに出会えるのか、あるいは、なぜこの瞬間にキャメラを構えていたのか)というひみつが垣間見られるような気がするのでした。お会いする前は興味がある反面、取材する側としてはやや不安だったところもありましたが、実際にお会いして話したことで好きになりました。魅力ある面白い方でした。

ウメップ

ウメップ

うめかよさん、高校が宇出津だったんですよね? 「えっ、なんで『うしつ』って読めるの?」。わたし、能登を旅して宇出津の民宿に泊まったことがあるからです。「えーっ」。くじら、食べましたもん。(→ ☆ 2009/05/06 「新版ミスハタリの北陸旅 3 能登、くじらをめぐる冒険」


Meets Regional」は京阪神エルマガジン社発行の関西ローカルマガジン。今月号の特集は「まいど! 居酒屋」。やたらに濃くて些末な京阪神取材網と、ごった煮のようなサブカルチャー連載陣、関西発信の情報文化を作っている月刊誌です。東京で暮らしていたころはあまりなじみがなかったけれど、こちらの町に来てからは、モハキハとしても(ミーツ別冊カレー本や雑誌「SAVVY」でモハキハをご紹介いただきました)、ミスハタリの個人的な生活としても、いろいろな面でお世話になっている雑誌です。

実は「Meets Regional 10月号」でも、エリザ・ドゥシュクさんという女優のインタヴュー取材記事も書かせていただいていました。


どちらも巻末に近いページ「ミーツなひとびと。」というコーナーでの取材。テーマコラムや原稿書きのお仕事も好きだけれど、こうして誰かに会える取材のお仕事もまた楽しいものです。見知らぬ町でとつぜんモハキハをはじめてから、お客さまや同業の方など、いろいろな方に出会うようになったこともあるからか、さいきんことのほかインタヴュー仕事がたのしいです。わたし自身、フラットになってきたということなのかしら。