おそれていた三月がやってきた! 白いシャツを着たとたんに雪が降ったのは呪い? 足裏指圧の至福な瞬間によだれで応じたり、つな八の座敷でたくさん天ぷらを食べて動けなくなったり、ちょっとした出来事に思春期のように胸をときめかせたり、と、一見してしあわせな日日を過しています三月はペドロ・コスタの『ヴァンダの部屋』およびアテネフランセでの特集上映、壷での低音環境、真夜中のゴールデン街探索、珍しいキノコ舞踊団、京都夜行バスの旅(サイコロ持っていくかな)、南房総ギャル旅、Joseph Nothingに踊らされる夜、などがすでに手帖に記されてわたしを手招きしている。馬鹿げた重荷に背中を丸めている場合ではない。重荷を下に敷いて飛び石の要領で軽やかに移動してしまえ。朝日新聞土曜版が廣澤虎造を特集していたので大事に切り抜く。平岡正明さんの『第七才子書 虎造節 清水次郎長伝』は虎造の語りに加えて、地の文であるはずの平岡節が既に浪曲となって耳に入り込む。そうだ、『続清水港』のビデオだって観るのだ。窓辺で電子ピアノを弾きながらセンチメンタルな唄もうたいはじめた。今年のハタリ農園にはパクチーを導入することが台所会議にて決定。高井戸からいただいた秋蒔きのソラマメも花を咲かせ始めた。そのほか頭のなかの近況。埴谷雄高『死霊』をようやく読み終えた。半分も理解していないだろうに一人前の読了満足感だけは持ち合わせています。武田百合子さん特集の河出夢ムックも買いました。ドラえもんは買っていません。おそれていた三月は、春を告げるはずの祝日が土曜日に重なっているのがとにかく癪に障るのだった。