田中徳三『続悪名』(1961/大映)。勝新演じる朝吉が売り出し中。喧嘩に強くて面倒見がよく、気は短いが話はわかるいい兄貴、って、次郎長だよなあ、と思えばもちろんその通りで、ちょっと油断した隙にモートルの貞のほかにもわらわらと乾分ができいつの間にやら一家をこしらえてしまうのだった。その元締役で中村鴈治郎が登場。悠然と構えているけれど玉緒チャンをさらわれた(馬賊かなにかみたい)動揺はどんなものでしょうと、つい余計なことばかり考えてしまう。頬っかむりをして相撲をとる座頭市…じゃなくって朝吉。やくざ養成講座というか青春映画というか、渡世とはなんたるかを知って戸惑ったり後悔したりするのが新鮮なシリーズ第二作目。ラストの戦場のシーンで兵隊たちが列を成して歩いていき、徐々に影だけになって左端へフェイドアウトしていくのが按摩の行列のように見えて……ざとーざとーとしつこくてほんとすみません。座頭市は仕込杖の居合斬りがクールだったけれど、朝吉の場合は拳振りまわして頭突きで闘う暴力なのでわかりやすくてとても清々しい。そう、『悪名』の魅力はその単純さにある。腹が立つから殴るし美人だから優しく扱う。朝吉理論は至極真っ当なのだ。