田中徳三『第三の悪名』(1963/大映)。悪名シリーズでは宮川一夫の映像美がそれほど目立たないなと思っていたわたしが馬鹿だった。緑がかった薄闇と色濃い影のコントラスト! 新キャラ、戦争帰りのインテリやくざ(兵隊時代、朝吉の上官だった)に長門裕之。その顔のくどさが美形の勝&田宮のあいだに入るとちょうどいいアクセントになるのだった。乱闘シーンが派手なのがなんともうれしい。勝新の殴り方は本当に実践的なもので、からだごと預けるから一発一発が重量級。一方、田宮のパンチは見た目は軽そうなのだけどとにかく速い。下半身を安定させて腰だけを回転させて素早く入れる。腕の軌道もコンパクト。でも殴る時に思いっきり振切るので威力はそこそこあるんじゃないかな。拳を握ったら親指でしっかり固めておかないと逆に怪我するから気をつけて!