夜になって、マンダラセカンドで渋さ知らズ劇場。語弊があるといけないのだけど、十人ほどの今夜の編成は、まったく無駄のないハイクオリティな人選だった。そしていつもの中編成バンドとはやや趣きが異なったライヴ。途中で大沼ブルースに移行するのかなとみせかけてちょっといきかけて完全にはいかなくってその場で生まれた音楽が長く連なって膨らんで盛りあがって数十分がゆうに過ぎて一曲目だけで第一部が終了。演奏している方は時計に気づいてその長旅に「!」と驚いていた。二部もひとつひとつが長いのに全力疾走。本多工務店をやらずにふりきり仙頭で終了。濃密というか贅沢というか驚きであり余裕であり運動で衝動でヤンチャで男前。昨年末あたりから、小森慶子さんのサックスの底力と存在感が強まっているように感じます。
さて、ライヴが終わってひさびさに高架下のよみた屋の百円棚を物色。高見順石坂洋次郎の全集函入りを各百円、山田宏一さんの『トリュフォー ある映画的人生』(平凡社)を千円で購入。何度も読んだしもう既に持っているけれども、好きな本は何冊でもほしくなるからしかたがない。なんなら誰かにあげてもいい。押しつけがましくならないよう気をつけながらも、好きなひとに好きな本をあげるのがとてもすきだ。そうやって武田泰淳の『目まいのする散歩』を何度も買っては配っているのだった。