「ベランダ園芸部2004」本格始動。サングラスにランニングシャツで井の頭通りを自転車で飛ばして環八高井戸オリンピックまで遠征。茄子部の規模拡大に加えて、パクチー、細ねぎ、青じそししとう、パセリとトマトのりりこちゃん。苗や資材や肥料を買ってきて日あたりのよいベランダで土をいじる幸福。掃除洗濯ふとん干し納豆カレーとマリブミルク体操ドライトマト作り午後の入浴。地味な健康人間の隠居生活のように見えるでしょ、でも部屋に流れるのは大音量の高円寺百景、いつだって変拍子の人生でありたいものです。

東急裏タリーズの屋上にのぼってオレンジジュースをのみながら夕暮れを見上げる。お買い得で贅沢なひとときにヨダレ。このまま真っ直ぐ進めば牛鉄、こっちの角を曲がれば弁天湯だけど、今夜は焼肉でも銭湯でもなく音楽できもちよくなるためにバスに乗って千歳烏山へ。「壷」での低音環境のライヴ、「こんちゅうがたおれました」とのことで急遽第一部はチューバソロ。高岡さんのチューバはおもしろいなーと常々思っていたけど、今夜はチューバを「吸う」演奏に感動した。吸ってもふつうはまともな音が出ないらしいのだけど、ふつうじゃないチューバ奏者はついに裏ステージ突入、高音と低音の両方の二重演奏なんていうとんでもないことになっていた。テルミンみたいな音にディジュリドゥみたいなボエーという低音。なんだか二つの音がさらにバラバラに出ていたような気がしたんだけど、なにがどうなっているのやら。ウッドベースをかついだ不破さんが到着して第二部。低音の振動は心地良い酔いを誘い、プルーン酒のあとに、隣の美人が呑んでいた「ジンのビール割り」(「死んだジイさんの好物でさー、そうそう、ジイさんも曾ジイさんもみんな酒で死んでるんだよね」)をちょっといただく。これがいい香りでしかもおいしい(「高いジンでやっちゃだめよ、もったいないから」)。吉祥寺行きの終バスの時間がやってきたので店を出て、サンダルの靴底鳴らしてキャアキャア叫びながらバス通りを走る。たとえここでバスに轢かれたとしても成仏できるほど浮かれた気分。高校で机を並べていた彼女はすっかり美しくて賢い大人になった。わたしもすこしは大人になれただろうか。頭の中ではいまだ思春期が続いているというのに。