台風の余波で音を立ててて揺れる東京。宵と呼ぶにはすこしばかり過酷で闇というにはぬるく間の抜けた、嵐の午後八時。市川りぶるで佐々木彩子さんと不破大輔さんのデュオを観た。クーラーで冷えた席で紅茶をのみながら目撃した、汗だくの演奏。「ずぶぬれサイクリング」のあとの「青空」がよかったなあ。四年ぶりに二人で演奏したとか言っていた「天秤」(だったよなあ?)、これがまたよかった。ははは、レイ・チャールズばりに弾いちゃったねとちゃんさんが笑ったように、今夜の彼女はやみくも全力疾走で、それは不破さんのウッドベースに煽られたのかもしれないけど、なによりわたしはその「一見向こう見ずで大胆なようでいて、本当は抜け道を知っているけど潔く真っ正面から四股を踏む」彼女のやりかたがとてもすきだ。このふたりのデュオ、しつこいしつこいと苦笑いされたとしても追っかけていくことに決めました。だって、ラブコールが音になって跳ね返ってくる。こんなにたのしい手応えってないよ。