どうやら風邪をひいたようだ。喉がイガイガしてひゅうひゅうと鳴る。宵の口にスクリーンで川島雄三と思っていたけれど、映画館の室温を考えて今夜は自粛し直帰。風邪の初期症状は、あたたかいのみものと果物チャージと睡眠で治すにかぎる。ミルクチャイと甘いプラムと畳の上の寝床。しけった夜は窓をあけてすだれを下げてすごす。近所のチビッコたちが把になって花火ではしゃいでいて騒がしい。

吉田喜重『秋津温泉』(1962/松竹)のビデオを観た。岡田茉莉子出演百本目記念作品。冒頭、キャメラ=廃屋に入っていく長門裕之の視線かと思いきや、画面下からぬうっと長門の顔が現れた、そのキャメラワークからまず驚いた。夢中になって観ていた二時間弱、いろいろと思うところがあるのだけど、とりあえず、熱は出ないが涙がすこしだけ出ました。男は「怒られる」ためにいて、女は「怒る」ことを諦めたときに一気に老けるものなのかもしれないなあ。「あいつは木綿みたいな女だ」なんて言われたくないな、一生。それなら怒りつづけていくほうがいいな、なんて思いながら寝る。早く寝よう、熱が出ないうちに。