入谷なってるハウス不破大輔さんのベースと立花秀輝さんのサックスのデュオを観た。渋さチビズのライヴで、ああいったいどこに行っちゃうんだろうといつもわくわくさせてくれる、しなやかな遊び心のある立花さんのサックス、その展開と奏法ともに耳だけでなく目で観るのも愉しい。ふたりの即興演奏は、ときに足踏みや呼吸音、ベースを叩く音やグラスのなかで氷が揺れる音も巻き込んで、あらゆる方向に飛び火する。おやジャズかなジャズじゃないなこりゃポップだなポップだったのかな、ううむ現代音楽かないいや現代音楽ってそもそもなんだそれ、そんな括りはよくわからないし結局「本質」の前ではいつも名前なんて無用なものに過ぎないのだけれど、楽器から鳴り出す音が対話しているというよりも、その音を含めた「呼吸」のようなもの全体で、あるいはそこから選抜された部分同士で、ふたりが四方山話をしているような感じがした。からだの脈動が音楽でできているひとを見た。血圧が音符、上が♪=115で下が♪=70。目の前で演奏をしている音楽家のからだを微分していったら最後の欠片は音符になるのかもしれない、それはすごいことだなあと思う。わたしを微分したらはて何になるだろう、ここ数日の食生活を考えると豆乳になるかもしれないなあ。