藤田敏八『赤い鳥逃げた?』(1973/東宝)を観た。フィルムを切って貼ってつないでも、そこに描かれるどん詰まりの青春はその場で激しい足踏みを繰り返しもがき続けるばかり。男と男とすこし尻が軽い女の子が出会って積み重ねていく閉塞感。盗んだバイク、否、成金親爺の高級車で都落ち、脱走の解放感はあっという間に過ぎ去りまた停滞した苛立ちが募るばかり。「おれたちゃ中年を飛び越していっぺんにジジィになっちまうんだ」。自分の時間と現実の時間に齟齬を感じるやるせなさこそが青春の証? 映画はその閉塞感を突き破らずにいつまでも併走をつづける。まあ、わたしは原田芳雄に恋をしているわけだけど、今回の芳雄さんもやはりすてき。不意に涙をこぼす一瞬、わたしも泣くかと思った。だってそれはあまりに唐突すぎたのだ。エンディングのバカバカしい無鉄砲さが軽薄であり純情でありやるせなくもある。海辺の群集のシーン、なんだかフェリーニのラストシーンのよう。