「『風船』のときに京都へロケーションに行ってて、ちょっとお天気待ちかなにかで時間があって、川島さんと二人でお茶を飲みながらいろんな話をしてるうちに「おれとおまえの間では“できない”ということは言わないという、そういう約束をしようじゃないか」と言うわけですよ。どちらかがアイディアをだして「それはダメだ」ということは言わないと。両方できないということはそれはおれたちに技術が未熟なんだからそれは勉強すればいいんだけれども、ただ言ったことに対して即座に「それはダメ」という言いかたはしないという約束をしようと言うから、「約束しよう」と。まあその時の成り行きでそう言っちゃったわけですよ。ところがさっきもお話ししたように非常にアイディアに富んでるかたでいろんな注文を出すんですよ。それが約束しちゃったから「イヤ、それはちょっとできない」と言えなくていろいろ考えなきゃいけないことがいっぱいあったんですよ。」(磯田勉編『川島雄三 乱調の美学』(ワイズ出版)収録 キャメラマン高村倉太郎インタヴューより)


わたしも「できない」というのは今日かぎりでやめにした。