暮れの雪と正月の岩盤浴と木造安普請のハタリハウスで厄介な風邪をひいたのは冬の不可抗力だ。黄昏時のいせやで烏龍茶をのみながら頭の重みを感じ、今夜は大人しく早寝しようと決めたはずが、どうしたものかその三十分後、わたしは眉間にしわを寄せてサンデーブランチのテーブルで苺だらけのタルトを食べていた。判断力の低下。机上の緊急事態に微熱の頭が沸騰し、寝床を片付けて脱いだばかりのコートを着込んで自転車にまたがりマンダラセカンドへ。渋さ知らズ劇場の後半からライヴを観た。幸いなことに音楽に囲まれているあいだは子供みたいな洟垂れも止まるのだった。つねにひろい心とのんきな気持ちを養える余裕をもっていたいと願うけれど、不安が体力を食い潰そうとするときがままある。わたしは不安の積み木であそぶ三歳児のようなものだ。荒削りの積み木で城を建てようと思うな。まずはそこに屋根と柱を。