ふたつめの旅からかえってきたら六月に後ろ足がかかっていた。

いろんなできことがあって、いろんな土地でいろんなひとにあって、そして音楽はいつでもそこにあって幼稚なおばかちゃんを勇気づけた。おばかちゃんは相変わらずの迂闊さと元来の粗忽さでバタバタとせわしなく走りまわり、心配と迷惑を道しるべのコンペイトウのように落としていくので、世界のあちこちでいまごろ厄介事が芽を出していることだろう。でも旅の神様はあんがい寛大な態度でおばかちゃんの背中を押しつづけた。メールスの舞台から10日、あわててふたたび出国した先にあったものはやはり昂揚感と音楽が鳴り響いている景色。舞台袖で龍は言った。そろそろ旅が楽しくなってきたかい? そんなの最初から面白いよとわたしは答えた。いいや違うね、あんた、この旅でずいぶん顔がかわったよ。うれしいじゃないか。鏡を見たって映っているのはちょっと日焼けした相変わらずな顔だ。でもうれしいじゃないか。龍が尻尾を揺らすようになった。屋外の舞台よりはるか高く龍が飛んだ夜、龍はわたしに言った、ほらごらん、旅はすてきなものだよねえ。

渋さ知らズ欧州ツアー第2弾旅が無事終了。集合と離散を繰り返し、誰かがパーティから外れたり合流するときには「またね」「いってらっしゃい」「ただいま」「おかえり」という挨拶を重ねるわたしたちはいったいどこが家でどこが旅先かわからなくなっている。コンペイトウはいまやいろんなところに落ちているのだ。
ミスハタリが見た旅の顛末はこちら
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