映画のことばかりを考えたいのにそうもいかない。だってそうそう映画を観られていないからだ。例外はある。とても不機嫌な話。飛行機のなかでブリジットなんとかというへちゃむくれ娘が勘違いの数々を繰り返す映画を観た。まったくなんて横暴な映画だろう! 観客の共感だけを頼りにする映画なんてくそくらえだ! 世界中の、たしかにちょっと太めだけどわたしの笑顔ってそう悪くないと思うのよね、という娘さんたちだけを相手にするなら、なにもそれは映画である必要なんてないはずだ。映画が映画であるということ。監督が「アクション!」と叫んでキャメラがまわりはじめるとき、風景とは別の新しい世界ができるってことをあのすばらしい映画は教えてくれた。アニメーション映画の語源は「いのちを吹き込む」というような言葉だって青山映画誌講義でY氏は教えてくれた。想像力が動作を得たもの、それが映画なのかもしれないなあなんて思っているわたしには、ブリジットなんとかというへちゃむくれ娘の物語はただのへたくそな言葉で綴られた絵日記でしかなくて、二時間弱のあいだちっともワクワクしなかったのだ。映画って、もっと観客を信頼して作られているものなのではないかしら。だからこそ映画のなかに隙間が生まれてくるわけで、その隙間はいろんな色に乱反射し興奮を呼ぶ。説明過多や予定調和は観る側を馬鹿にしている気がしてならない。


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