htr2006-02-03

ひさしぶりに札幌へ。帰省と観光と仕事のあいの子の旅。美味しいごはんをたくさんいただいたり、猫にちょっかいを出したり、なつかしい友人に会ったり、ひさしぶりに父親とビールのジョッキを交わしたりしたのだけれども、ここで、ひとつ、訪れた面白いお店の話をしましょう。

キコキコ商店」という名前はずいぶん前から知っていた。栗コーダーカルテットふちがみとふなとさんのツアー日程には「札幌:キコキコ商店」と書いてあって、一度知るとなんだか気になってしようがない名前はやはり口に出して唱えてみないと気がすまないもので、そして「キコキコ」言い始めると、今度は一度行って見てみないと気がすまないという具合なのだった。午前十一時、中島公園そばの「キコキコ商店」は飄々とした顔でそこにあった。昔ながらの民家をリノベーションしたとかいうような今流行の類とは全く違って、本当にふつうの一軒家だった。お友達の家にあそびにきたかのように靴を脱いで(しまった! 毛玉だらけの靴下だ!)、スリッパを履いて戸を引くとそこにはキコキコの喫茶室。ストーブで暖められた部屋でアーモンドラテをいただき、お店のCD棚を見ていたら、なんだ! この! 親近感のあるセレクトは! にやにやしながら棚を眺めて、不意と思い出して、「大原裕さんの音楽が聴きたいンです」と言ったところからふしぎで愉快な出会いがはじまった。あれもこれもと欲張ってお喋りを重ねながら、さらに話題は膨らんでころころ転がり、いろいろな音楽家とその音楽のお話、みんなが大好きな川口隊長の北海道観光大名っぷりや、三鷹のラーメン屋「江ぐち」の後継者が24歳の好青年だってことまで話しこんでいた。茶の間のような場所で、ここでしか見られない濃厚な演奏がなされているというのはとてもゆかいなことだ。磁場というのは豆をまいて作るものだなあと思い知らされる。店主の末木さんご夫妻は、あのひとやあのひとやあのひとたちが札幌に来てくれたらなあ、やっぱり呼びたいねえ、と話してくれた。いろんな伝言を預かりました。だいたいは想像してみるがいいけれど、それはそれはわくわくするような布陣です。

長居のすえ、リブラフとサイツのCDを両方買う。出会いのしるしに、キコキコぼうやの豆本とハタリブックスの「座頭市映画手帖」を交換。というわけで、キコキコ商店は札幌で唯一「座頭市映画手帖」が手に入るお店となりました。札幌のみなさん、よろしくどうぞ。

キコキコ商店 http://www1.odn.ne.jp/fks/