オオサンショウウオをめぐる冒険

htr2006-05-27

早朝六時に家を出る。小雨が降る中、新幹線に乗って今月三度目の東海道下り。名古屋経由で近鉄線、三重県は赤目まで。ハタリブックスの初夏はオオサンショウウオの研究に勤しむことになったので、まずは赤目四十八滝で暮らす彼らサンショウウオに会いに行くことから仕事をはじめることにした。というのはもっともらしい言い訳、実のところ、両生類や爬虫類が大好きなミスハタリ、オオサンショウウオに会いたいという下心ありきの出張だ!

映画『赤目四十八瀧心中未遂』で、白いワンピース姿の寺島しのぶが立っていたあの景色(http://d.hatena.ne.jp/htr/20031116)。流れ落ちる瀧が彼岸と此岸を隔てていたあのやるせない景色。赤目口駅で列車を降りたのはミスハタリ一人。滝入口へのバスは出てしまったあとだった。タクシーに乗って田舎道を走る。「そんな尖った靴じゃだめだなァ、まずは見晴荘で草鞋を買わないかん」。足元は山道にもっとも不向きな八センチのピンヒール。ぐずついた天気を知っていたし時間も限られているのだから、どうせ山には入られないだろうとふんでいた。そんなあきらめ気分だったのに、次々と姿を現わす滝に魅了されてしまい、「ちょっと代官山でも流すかしら」な服装でズンズン先に進む。心配していた雨もやみ、千手滝や布曳滝のあたりではあたたかな陽射しにも恵まれた。絶好の自然散策日和。弁当代わりに仕込んできたサンドイッチを頬張り、しばし滝にみとれて山を思う。

赤目の入山口に「日本サンショウウオセンター」はある。中に入るとまず齢五十歳以上というオオサンショウウオが出迎えてくれる。いくつも水槽が並び、日本各地や世界各地のサンショウウオやイモリ、カエルの姿があった。飼育員の方にごあいさつと取材のお願いをしてから、しばらく水槽にへばりつく。午後二時からは「バックヤードツアー」。飼育員の方の案内に大人三人(キャメラマンの男性、両生類好きな男性、両生類好きなお嬢さん)がゾロゾロついて歩いて、表からは見られない飼育室や研究室を見学させていただいた。オオサンショウウオの生態や特徴、多種多様なサンショウウオについて、孵化や飼育のお話や、赤目の自然環境についてなど聞く。オオサンショウウオに触らせていただいたら、ほんとうに彼のからだはヌメヌメしていた。オオサンショウウオはおとなしいように見えて意外と機敏に動き、パックリ口を開けた姿はまさしく「ハンザキ」。たくさんの種類のサンショウウオにも会えて、オオサンショウウオをめぐる旅準備は完了。飼育員の石下さん、お忙しい中にも関わらず、どうもありがとうございました。

赤目四十八滝、日本サンショウウオセンター】
http://www.akame48taki.jp/
【さらに詳しくやさしく、日本サンショウウオセンター】http://www.akame48taki.jp/sanshouo/index.html 

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秋に公開予定の映画『パビリオン山椒魚』。この週末から予告篇も上映されはじめたそうです。「ある青年の、山椒魚をめぐる愛と冒険」の物語だとわたしは思っています。ふしぎでおもしろい映画です。

【映画『パビリオン山椒魚』】
http://www.pavillion.jp/
http://www.stylejam.co.jp/production/salamandre.html