平岡正明 芸の真相/深層

htr2006-07-09

夏の「平岡ニュース」をひとつ。

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平岡正明さんの新著『志ん生的、文楽的』(講談社)と『日本ジャズ者伝説』(平凡社)の刊行を記念して、平岡さんのサイン会が横浜の有隣堂本店書籍館で行われます。

<日時> 2006年7月15日(土) 15時より
<場所> 横浜/関内 有隣堂本店書籍館2F 横浜市伊勢佐木町1-4-1
<お問合せ> 045-261-1231
http://www.yurindo.co.jp/info/event.html#hiraoka_sensei

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平岡ニュースをもうひとつ。
今年も法政大学エクステンションカレッジに「平岡正明のDJ寄席」が登場。昨年の「都市に響く音」につづき、今回のテーマは「芸能の真相/深層」。このDJ寄席とは、「100冊以上の著作を持つ全身評論家、平岡正明が自己の記憶をクラブDJのごとき手法でアクチュアルにリミックスし、噺家のごとき語り口で、ディスク・ジョッキースタイルで展開するスウィング・トーク。レコード、カセット、CD、ビデオ、DVD、あらゆるメディアに平岡正明の肉声が対するスリリングなインプロヴィゼーション芸」。 音楽、落語、新内、浪曲、大道芸、そして芸能界。古今亭志ん生からタモリまで、芸の道に造詣が深く、自らも芸人である平岡さんならではの「芸能論」が飛び出すはず。

<第一回> 8月26日 「芸能の真相」
<第二回> 9月 2日 「芸能の深層」

昨年、わたしは第一回目しか聴講できなかった平岡大学ボンクラ学生だったのだけど、実は手元に全五回分のテープがある。そのテープを文字に起こした原稿もなんとか出来上がった。このスピード、飛躍感。平岡正明のDJを体感したことがあるひとならわかるだろう? これは智慧のダンスミュージックだ。平岡さんの著作を読んでいてもそうだし、平岡さんご本人とお話していてもそうだけれど、矢継ぎ早に繰り出される、多くの知識と体験に裏打ちされた言葉の数々に、いつもわたしは圧倒されて、阿呆のような顔をして聞き込んでしまう。平岡さんは、わたしたちのような七十年代生まれがついぞ知りえず憧憬するばかりの六十年代を語りつつも、「次はてめぇらの番だな」という具合に次の次を見据えている。

わたしたちは平岡正明を「先生」とは捉えていない。平岡正明は、ラジオの向こうで叫ぶいかしたディスクジョッキーであり、浅草の鈴芳でモツ煮をつつきながらジャズを語り、野毛のジャズ喫茶「ダウンビート」でコーヒーを飲みながら数々のレコードや写真を前に「金玉主義」を説く紳士である。わたしたちにとって、平岡さんは、知識と教養と革命的思想と食欲と性欲を同じ地平に立たせてくれた先達者だ。だからわたしたちはふざけた口調で「平岡チルドレン」を自称する。平岡正明を「先生」とあがめる世代には叱られるかもしれないけれど、それがわたしたち若者の強みと特権なのだ。わたしたちは平岡正明の音楽で踊りつづける、そしてブースに立ち入ってジョイントする大馬鹿者だ。

【法政大学エクステンションカレッジ 平岡正明のDJ寄席「芸能の真相/深層」】
https://www.hosei.org/kouza/S064011.php