ダイナマイトろんどん―渡英前夜の東京中低域

htr2006-11-08

下北沢440にて東京中低域のライヴ。BBCの招聘でロンドン・ジャズフェスティバルに出演するための渡英前夜。壮行会となったライヴはなかなかの混雑。一曲一曲が短めだとはいえ、セットリストを覗きみれば二十以上の曲名が並んでいた。いままでと違うのは、ステージ上から譜面台が消えたこと。バリトンサックスという同じ楽器十本で、それぞれの演奏者の個性に拠ってパート別に振り分け、難解な譜面の音楽を組み立てて完成させていくという印象がある東京中低域(でもね、肌触りが実にポップでキュートでコミカルだったりもするのだ!)なのだけど、その東京中低域がついに暗譜を! 十人が足元のセットリストを覗き込んだり、ときどき誰かがフライングをしたり、もぞもぞしたり、ズレが生じたり、そんな「不真面目」なステージをこのバンドではじめて観た。譜面から解放された東京中低域は勢いが暴発気味で、すこしおかしく、とても面白かった。「質」のもんだいではなく「妙」を楽しもう、そんなライヴだった。この勢いで明朝には成田空港全員集合、飛行機にのってイギリスに飛んでいくという。バリトンサックス十本、飛行機に乗せるのは相当のバクチだろう。どうか人も楽器も無事なフライトを、そして、ロンドンのみなさんが九本のバリトンサックスの合奏と水谷紹さんが唄う「レイン」を聴いてどう楽しむのかを想像してくすくすと笑いいながら旅の成功をお祈りします。

東京中低域 http://www.eqcd.net/tochu/index.html