杉並梅見散歩/野毛/新宿未遂

梅見散歩

早く起きた土曜日。家のすぐそばには東京都の生産緑地があって、白と赤の梅がすでに半分ほど花開いている。のんびりと西荻窪まで歩いて行ってヘアカット。冬のあいだのオカッパちゃんから春の気分のショートヘアに新装だ。西荻窪南の住宅街をふらふらと散歩して、部屋探しのときに候補に挙がっていたマンションに出くわした。五階の窓から中央線が見下ろせるナイスロケーションだったのだけど、古い物件だったので天井の低さが気に入らずに見送ったのだった。ここに住んでいたらこの数ヶ月はどんな暮らしだったろう? 五日市街道を渡って小学校の裏手に回ると見事な梅園。ここを教えてもらったのはちょうど去年の今頃だ。旧居吉祥寺ハタリハウスはまだ空家の様子。杉並や武蔵野の豪邸の庭を眺める梅散歩はこの時期の健康的な娯楽なのだ。

夜には横浜は野毛まで。いまさらようやく『平岡正明のDJ寄席』の打上げ宴会。平岡さんと仲間たちと一緒に「萬里 放題亭」の二階の座敷で円卓を囲む。とある「体験談」の話になって、具体的なエピソードが魅力的に語られていくのを聴きつつ、「酔わない」平岡さんは強いなあと改めて思った。酔わない、のは、酒が強いのではなくていっさい酒を呑まないから。酒と無縁の平岡さんは酔わせる話芸をもっている。そして酔っ払いながらお囃子で賑やかす衆のひとりがわたしであり、この仲間たちだ。この本を通して平岡さんとお付き合いができたことも幸運だけれど、別々の場所でそれぞれやいのやいのとわめいていた仲間たちと出会えて、一緒に悪巧みのような本を作ることができたことがとてもうれしい。また新たな悪巧みが芽吹いた夜。

野毛宴会半ばで新宿へ。二年前のヨーロッパツアーにて、ロシアでお世話をしてくれたモスクワのDOMのナジャや仲間たちが来日しているので、その宴会に顔を出そうとしたけれど間に合わず。会いたいよーとジタバタしていたら、なんてこったい、翌日のライヴを観に来るらしいじゃないか。しかもそのお迎えにいくようにという指令が飛んできた。アワアワと英語の記憶を引っ張り出しながらおやすみなさい。