鬼頭 哲 ブラスバンド 「散歩と冒険」

数日前のこと。真夜中のメールボックスにKさんからメッセージが届く。「元気? こちらは最近スキンヘッド」。返信するより話したほうがだんぜん早いと、電話をかけて近況報告と仕事のような打ち合わせ。電話で話すのは一年半ぶり? わたしが編集者一年生だったころを知るKさんは、わたしがはじめて出会ったまともな「広告屋」。広告という遊び場でキッチリと任侠を貫いていこうとするスタンスが、とても好ましい営業さん。雑誌をペラペラとめくっては、広告やタイアップ記事を「商業的だ」なんてことを抜かすひとがたまにいるけれど、それはお金が動いているから、ではなく、意識がチープなまま商品が消費されていくから、だろうとおもう。そのあたりをまちがえてはいけない。

「で、名古屋に来ないの?」「えーと、十月になったら通います、コンサートの仕込みと本番で」「ほう」「というか、あれっ、わたし、昨夜、名古屋にいたわ」。

さて、その、東京から実はほど近い、名古屋のお話。十月二十三日に名古屋市千種文化小劇場にて行なわれる、鬼頭 哲 ブラスバンド のコンサート「散歩と冒険」のチラシが刷り上りました。前回の五月に引き続き、今回も、絵とデザインを画家の照喜名隆充さんにお願いしました。企画コンセプトと、文章と、キーワードと、散歩しながら撮りためた写真をエイヤッと送りつけて、やいのやいのと、言うだけ言って待っていたら、こんなにすてきな絵を仕上げていただきました。前回まで楽器が写りこんだヴィジュアルを前面に「わかりやすく」打ち出してきた鬼頭ブラスですが、今回は言わば冒険。視覚的な面に関しては、一年が過ぎて、ようやく船出のときが来たかなという気分です。音を奏でるミュージシャンはもう甲板に揃っている。

鬼頭 哲 ブラスバンド は、現在、世界各地でそれぞれの町を散歩中。遊び場なんていうものは、いろんな方向に広げられるものだと思うのです。音楽って、耳に聴こえてくるものが大事だけれども、耳に聴こえるものだけではないと思うの。それが傲慢なかんちがいだっていうなら、見せてよ、アナタのミュージック。わたしはいつも音の生まれる瞬間を目撃して踊っていたいのです。ただそれだけ。

チラシは主に名古屋市内のライヴハウスや楽器店、ホール、ショップなどで手に入ります。キッチリ情報を頭につめこんでチケットを予約したあとは、額に入れて部屋の壁に飾るのもおすすめです。また公演が近くなったら告知すると思いますが、とりあえずチラシの紹介と自慢でした。

【鬼頭 哲 ブラスバンド】
【鬼頭 哲 ブラスバンド 散歩と冒険】 十月二十三日(火) 名古屋市千種文化小劇場にて