台北・安全な散歩 10 帰国

たのしかった台北の時間はするりと過ぎ行くもの。さいごの朝は、台北商旅慶城館(→このすてきなホテルについてはこちら)のベッドの上で目が覚めた。ゆったりと朝ごはんをいただき、荷物をまとめ、空港行きのリムジンバスを待つ。台風が直撃した出発前夜の心配から、あっという間にもうすぐ帰国。この旅行で行かなかった見どころはたくさんある。お茶屋さんで試飲もしなかったし、台湾式シャンプーもエステも未体験。台湾料理と呼ばれるものは小龍包と麺しかいただいていないし、夜市だって足早に退散してしまった。レトロな迪化街、鮮やかな花柄生地の問屋街、有名な故宮博物館、淡水や猫空といった郊外、九份のような観光地、新北投の温泉、もちろん台中や台南など、未踏の地は多い。この四日間で見た台湾の姿なんてほんのひとつまみにすぎない(ほんとうは十月十日に帰国していますが、記事編集の便宜上、日付がかわっています)。

でも、今回の旅行はたのしかった。空港行きのバスの中でママハタリが言った。「知らないことってたくさんあるね、試してみないといつまでだっても知らないままなのね」。そうだ、ママハタリのなかでショーロンポーが小龍包になっただけでも、ばんざい、この旅行は成功なのだ。

台北伊香保温泉に見立てた『秋日和』。原節子はママハタリ、司葉子と言うにはお転婆なハタリの台北・安全な散歩。スクリーンの中では美しい母娘はセンチメンタルな旅の終わりと新しい人生のはじまりを描いているけれど、ハタリ母娘の旅はまだ次の機会もありそうです。

バイバイ、台北。偏った情報ばかりの旅行の記録が、いつか誰かの安全な散歩のお役に立ちますように。



台北・安全な散歩 2007】
1 台風と旅支度  2 出発 3 欧華酒店 4 町と食欲 5 町と好奇心 6 台北商旅慶城館 7 猫カフェにて 8 小龍包と女の子 9 台湾新幹線 10 帰国