日暮里ミュゼット

花開き、よく晴れた午後。山手線に揺られて日暮里までお出かけ。そういやこの町の繊維問屋街で一着七五〇円のワンピースを買ったのは昨年のいまごろだった。細い跨線橋が印象的だった日暮里は、駅前開発で高いビルが建ち、駅舎は広くきれいになり、ずいぶんと大幅にイメージを変えようとしていた。東口を抜けてアコーディオン・ハーモニカの製造メーカー「トンボ楽器」へ。今日はアコーディオンの無料体験講習を受けにきたのだ(教本代で千円かかります)。

たくさんのアコーディオンが並ぶショールームに、いくつかのパイプ椅子と譜面台。無料で貸してくれる楽器は32ベースの赤いアコーディオン。今日の参加は九人、学生風の男の子もいればおばさまもおじいさんもいる。「アコーディオンに触れたことのないまったくの初心者」を対象にしているので、講習は楽器の構え方から開始。右手で鍵盤を弾き、左手で蛇腹を開いたり閉じたりするアコーディオン、「左側のベルトを右よりひとつ短めにしてくださいね」とのこと。約二時間で簡単な曲を弾けるようになって家に帰ろうという趣旨なので思いのほか進行がはやい。音楽や鍵盤楽器の基礎はスルーして、譜面も読めるものとしてどんどん進めていく。でもね、前方で教えてくれる先生のほかに、後ろにもうひとり先生がいるので、わからないなあという顔をしていたらスッと近寄ってきて教えてくれるので、まあ大丈夫でしょう。

やっぱり難しいのは左手。蛇腹を動かしながら、指先でベースやコードボタンを押しているうちに、いらない力が入ってしまう。小学生のころに合奏で弾いたアコーディオンにはもちろんこのボタンはついていなかった。実はずっとあのプチプチはなんだろうなあと思っていた。なるほど、こういうコードを使って伴奏をつけていたのね。鍵盤を弾きながら、蛇腹を動かしながら、指先でコードを弾きだす。うーん、むずかしい、でもたのしいな。好きになっちゃった。クジャリネットとアコーディオン、両方できるようになったらやれることが広がるかな。
→【トンボ楽器】
→【アコーディオン体験講習】


体験講習が終わったあとには、日暮里駅を越えて谷中を散策。お彼岸なので谷中墓地や近隣のお寺に墓参りするひとたちが多く、路上や店先では仏花が売られていた。谷中ぎんざは観光地のような賑わい。谷中から千駄木に降りて、古書ほうろうにちらりと寄って、団子坂下で今川焼きを買い食いしてからゆるやかな坂を登る。SCAI THE BATHHOUSEの手前で曲がって日暮里駅へ戻る。本日の散歩はこれにて終了。