手元でピコピコ 「Nintendo DS10 Session」

晩秋はあっという間に日が暮れる。自転車で荻窪まで走り、総武線で高円寺へ。渋さ知らズの絵描き、青建さんとラッパビームの辰巳さん、映像の横沢さんが何やらピコピコやるという。きょうはちょうど休日、遊びにいこう、その前にちょっと小腹が空いたから鳥貴族で一杯……と店に入ろうとしたところ、ちょうど本日の出演者の面々と鉢合わせ。「一席しか空いてないって」「じゃあ別のところに行こうか」と、合流して高架下で焼鳥やナンコツ刺しなどを食べる。

高円寺楽やにて、「Nintendo DS10 Session」。青山健一(DS10, Kaossilator, draw, etc)、辰巳"小五郎"光英(DS10, iPhone, elc-tp, etc)、横沢紅太郎(映像)、ゲストにドラマーだけどオモチャ持参の藤掛正隆。みなさん本職そっちのけで(横沢さんは映像機器だから本職なのかな?)、手元を見ながらピコピコ音を出す。

 

これが、「ふつうに」格好よかった。音をどんどん重ねていくのだけれども、「重ねすぎて隙間がなくなり結果ベタ塗り」という安易でやかましいだけの祭りに陥るのではなく、多分にふたりそれぞれのバランス感覚がよいからなのだろう、音が重ねられていくと同時に適度に引かれ、一定のクールネスを保ちながらあそび心が展開していく。

二部では客席から五人(渋さ知らズの真理さんやヤスさんや鬼頭さんなど)が加わりすっかり大所帯。いい大人がただうつむいて手元を見ながらピコピコしているさまは、中学校のマイコン部か小学生のたまり場みたいでおかしいのだけれども、そこはさすが「やかましい場において自分の居場所を自分で作る」ことに長けている渋さ知らズの面々。引き算の上手さが踊れるダンスミュージックを作るのだな。思いのほか面白いライヴアクションとなりました。あ、アクションはないのか。

【辰巳光英】
【青山健一】