無頼兄弟の侠宴〜特集上映「若山富三郎×勝新太郎の軌跡」

コーヒーショップで待ち合わせていた方は遅刻し、訪問先の担当の方は会議が長引いていて、自分のメモ書きが間違えていたんじゃないかと不安になった午後四時。忙しそうですねと声をかけると「そうねバタバタとね。そっちも忙しい?」と切り返されて、ウグッと息を呑んだミスハタリ。世の中で忙しくないのはわたしだけなのかなあと反省しつつ、打ち合わせも無事に終わったので、特集上映とトークショウ企画の告知です。

テアトル新宿にて十一月から行なわれる特集上映「若山富三郎×勝新太郎の軌跡」(11/15〜12/5)。映画界きってのすさまじい実兄弟、若山富三郎勝新太郎。もちろん座頭市も拝一刀もバッサバッサと斬りまくり! キュートなシルクハットの熊寅親分、悪の権化の不知火検校も登場。若山富三郎のデビュー作(もちろん白塗りスター時代)の加藤泰監督『忍術児雷也』(1955)から、『御用牙』、兄弟共演の『乞食大将』(1964)、勝新ファン必見の「監督・製作・脚本・主演」すべて勝新という勝新度満点の『顔役』(1971)も上映。今回上映する27作品(→)は、時代劇ファン、日本映画ファン、チーム若富や勝新至上主義者はもちろん、この二人が兄弟だって知らなかったという方々にも、入りやすいのではないかなという親切なラインナップです。ハタリブックスも、特に座頭市ラインナップに関しては「伊藤大輔脚本の『地獄旅』はすばらしいんですってば」とか「座頭市をやるなら『不知火検校』はマスト☆」など、やかましく口を出させていただきました。座頭市はなんと七本上映。兄弟共演ですさまじい対決を目撃できる『新・座頭市物語』『座頭市千両首』のほか、勝新監督作品の怪作『新座頭市物語 折れた杖』など。観たことが無いという方はぜひこの機会にどうぞ。

初日の十一月十五日土曜日の『座頭市千両首』上映後に、なんと、若山富三郎勝新太郎両氏のご子息である若山騎一郎さんと鴈龍太郎さんのトークショウが行なわれます。1964年生まれのいとこ同士であるおふたりが揃って壇上でお話しいただけるのは本邦初ではないかと思います。

なんと、このトークショウの聴き手を、岸野雄一さんとハタリがつとめさせていただきます。うーわー。

【若山富三郎の軌跡×勝新太郎の軌跡】トークイベント
★日時:11/15(土)『座頭市千両首』11:30の回 上映終了後
★場所:テアトル新宿(→
★ゲスト:若山騎一郎(監督・俳優)、鴈龍太郎(俳優)
★聞き手:岸野雄一スタディスト)、浅利芙美(ハタリブックス/座頭市映画手帖)
若山富三郎さん、勝新太郎さんのご子息にあたるお二人をお迎え致しまして、映画、そして父についてお話を伺う貴重なトークショーを開催!

編集や舞台裏仕事ばかりしているハタリに、華々しいトークショウの壇上で司会なんてできるのかという不安はありますが、映画にも音楽にも勝新にも若富にも造詣が深〜い岸野さんとご一緒なので、ハタリがどんなにオロオロしても、全体としてはきっと楽しいトークショウになるにちがいないと思います。

また、本特集上映期間中には、日本の特殊メイクの第一人者である原口智生監督とライターのギンティ小林さんによるトークショウ「日本映画よ、『子連れ狼に還れ!』」(11/22)、小池一夫画伯(キャー!)とライター大西祥平さんによるトークショウ「これが劇画的エンタテインメントだ!/小池一夫先生トークショー」(11/29)もあり。映画秘宝系の方のお話は本当に深いから面白そう。通っちゃうなー。

というわけで、11月15日および期間中、若富と勝新のマゴコロ祭り(とわたしはこころのなかで呼んでいる)に、ぜひお越し下さいませ。

【若山富三郎の軌跡×勝新太郎の軌跡】 特集ページ