暮れのすごし方

クリスマスが過ぎると、一夜にして町はすっかり暮れに向かって加速する。ポインセチアの鉢植えが並んでいた花屋の店先には千両の実がわさわさと盛られ、同じ赤×緑色でもずいぶんなちがいだ。この一年をまとめるにはまだびみょうに早くて、労働も仕事も掘ればいくらでもあるし、宅配便では原稿用紙の束がドッと届くし、机の下には未製本の「座頭市映画手帖 petit」が出番を待っているし、壊れたビデオデッキを新調しないといけないし、こっそり原稿を書いていたキャラビズ関連のお仕事は無事にオープンしたし、乱雑な本棚は棚板が外れてゆがんできたし、大掃除も年賀状もまだ済んでいないし、カーテンを買いにIKEAにも行きたいし、と、まだのんびりするには早いし。でもすこしは世の中とリンクしたいじゃないなんて生意気にも忘年気味でふわふわした足取りだし。

手持ちぶさたに、十二月に撮った写真でもご紹介。


不完全燃焼の酒焼けと朝焼け後、朝7時の東十条駅からの視界。東北本線が絡むと線路数が増えて複雑で面白い。上野駅から北上する京浜東北線沿いに、ふだんわたしにはなじみが薄い、東北・上越・山形・長野各新幹線の色とりどりの車両が見られるのもたのしい。

 
早起きした朝にどうしてもドーナッツが食べたくなって、そのためだけに電車に乗って二駅先まで外出。北国には寒波がきたという。


郊外の町の、薬店にて。やっぱりいつでも口角はななめ上にあげておきたいものです。

先日、十歳下の女の子が、とうとつに「フィッシュマンズってなんですか?」と訊いてきたのでびっくりした。びっくりした、っていうだけのハナシですが、ついつい棚からレコードを出してきて聴いてしまった。

さあ、のこすところ今年もあと数日。未解決の問題、空まわりの期待、放り投げたままの宣言、返事のこない手紙、行く先を忘れた地図など、年を持ち越しそうな宿題は多いけれど、ハタリブックスの足取りは軽い。つまるところ強気な楽観、スーダラでのん気なリズムで、まずはハタリハウス/ハタリオフィスの大掃除でもはじめることにしましょう。