海を走る函館本線「山線」

今年の正月の大いなる里帰り「北東北&北海道 冬のより道」で、函館本線「山線」を通って札幌にたどりついたあと、実はその翌日、また函館本線に乗っていた。札幌駅〜小樽駅間。この区間は電化された鉄道で快速列車も多いのではっきり言ってあまりおもしろくない。海を望み、坂町の風景が広がってきたあたりで列車は小樽駅を勝手に終点ときめて停まってしまう。面白いのはその先。海そばぎりぎりに走る非電化の単線こそ、函館本線の醍醐味なんだってばーと思いながら、わたしは小樽駅前のターミナルから路線バスに乗る。バスは雪と氷ででこぼこに乱れた国道五号を走っていく。そうやって正月にも、わたしは余市まで行ったのだった。海沿いを走るバスの車窓から、吹雪を受けた海面が白波を立ててきびしい表情をしているのが見える。

つぎは北海道が夏支度をはじめる六月下旬に、わたしの単線原風景である函館本線「山線」に乗ってあそびにこようと思っていたのだけど、いろいろあって冬のうちにまたここに来てしまった。しかもその日は北海道はとつぜんの大雪で、北行きの飛行機がほぼすべて欠航で足止め。じりじりと夜明けを待ち、翌朝ふたたび空港へ。気もちばかり急いて三時間弱待ったあと、飛んでも戻るかもしれませんよ、もしかしたら函館に降りちゃうかもしれませんよ、と言われながらも飛び立った飛行機は、真っ白な吹雪のなかを真っ白い滑走路に着陸した。ありがとうとこころのなかで言ってしまうほどにすばらしい着陸でした。

今回は旅でも旅行でもないので、のん気な写真は一枚もないけれど、帰りみちには、余市のおとなり蘭島駅から小樽駅まで単線の函館本線に乗ったということだけお伝えしておきます。

いまの蘭島は真冬ですが、ここには海水浴場があるのです。

長万部方面から雪国を走ってきたディーゼルカー。大雪だってへいっちゃらな北国仕様。キハすてき!

小樽駅にて遭遇。赤いカワイコちゃんは旭川岩見沢行きのクハ711。ライトが二つ目なのも胸キュンポイントでした。北海道にもこんな列車があるんだよ。