The Long Lost 旧グッゲンハイム邸の夜
ヨーロッパツアーから帰ってきたばかりのオオルタイチくんが企画したライヴイベントを観に、雨上がりの金曜日、神戸の塩屋まで。KABB!のメンバーでもある友人が暮らしているので何度かあそびに来たことのある町だけれども、旧グッゲンハイム邸を訪れるのははじめて。三田村管打団?の森本アリさんが管理保存していたり、見知った顔ぶれがときどきライヴをしていたりなど、うわさを耳にしては気になっていたお屋敷。すぐそばに海(と、JRと山陽電鉄の線路)を望む、築百年の洋館。靴を脱いで上がり、扉のすき間から洩れ聴こえてくる音に誘われて広間へ。
「OORUTAICHI presents イーヴン・シュタイナー vol.3 The Long Lost Japan tour in 神戸」。まずはYTAMO、イトケンさん、キセルの辻村友晴さんによるエレクトロなトイミュージックライヴ。それぞれにオチャメだったりキュートだったり繊細だったり大雑把だったり。椅子に座っておとなしく聴いていながらも、好奇心は前の席のアタマを飛び越えていく、つまり何が起きているのか気になる面白いショーケース。グッゲンハイム邸の穏やかな空気のなかで、休憩(煮込みの匂いが立ちのぼる)をはさみつつ、のんびりと音楽漂う夜は更けていく。
メインアクトの「The Long Lost」が実にすばらしかった。ヒゲモジャの男性と金髪の女の子の夫婦デュオで、衣裳が冗談みたいな青。インパクトの強い外見とは裏腹に、やっていることは至極真っ当なサンプリングだったり、フルートの生演奏だったり(けっこう上手い)、苦笑いではなく微笑みで見つめてしまいそうになる歌唱だったり。キュートで、なんだかすごく変。耳なじみのよい違和感にうっとり。前情報なしで出かけていったのだけれども、そういうときの出会いはニュートラルで、ぐんっと夢中になれるのでたのしい。猫の歌を「ねこ…ねこねこねこ…」と日本語で歌っていたのがかわいくて、アンコールを乞われて調子にのって二度も歌ったのがまた微笑ましかった。すてきな音楽を観ました。その余韻と新快速の揺れで気分よく帰る。大阪と神戸はとても近い。
- アーティスト: The Long Lost
- 出版社/メーカー: NINJA TUNE
- 発売日: 2009/02/28
- メディア: CD
- 購入: 2人 クリック: 4回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
【The Long Lost】 http://www.myspace.com/findthelonglost