ミスハタリ飛騨路を行く 6 安房峠越えて松本へ

旅の最終日は早朝五時起き。まずはホテルの九階展望風呂で夜明けを待ちます。高山は盆地なのだなということが、朝のはじまりに、町をぐるりと囲む稜線が浮かび上がってきたところで実感した。東の空から徐々に明るくなるさまを湯舟から見上げ、早朝を歓迎する。七時五十分、高山バスセンターから特急松本行きのバスに乗る。もちろん座るのは特等席、最前列。シートベルトをしっかり締めて、フロントガラス越しの車窓をたのしむのだ。

バスは高山を後にすると山道を登りはじめる。平湯温泉を経由し、安房峠を越えるルート。アルプスの山並みが手が届きそうなくらいに近い。憧れの上高地は残念ながら素通りですが、次なる旅の予感がします。車窓にはダム池の水面が広がり、深い谷、梓川が堂々とした姿を見せている。細くうねうねと曲がる山道を行くのは、スリルに満ちたアトラクションだ。

ハラハラとワクワクとドキドキの三つ巴で峠を越え、山を下るともうすぐ松本。新島々(しんしましま、とはかわいい名前ね)のあたりから、単線のレールが見えた。松本電鉄だ。目を凝らして待っていたけれど、列車の往来には出合えなかった、ざんねん。ここにも次なる旅の予感がします。

十時十分、松本バスターミナル着。もしバスが予定より十五分早く松本に着いたら、うまい具合に大糸線に乗り継いで「安曇野ちひろ美術館」に行って戻ってくる余裕があるなと思ったのだが、松本駅手前で大糸線がトコトコとでかけていってしまった。大糸線、大好きだけれども、やっぱりアンタ、本数少ないよ! ここにも次なる旅の予感がするねえ。

安曇野への再来(→☆ 今夏の穂高安曇野始末記)は見送り、松本の町を歩くことに。三連休の中日、松本城では「そば祭り」開催中で大賑わい。城と、町をすこしだけ散策。老舗「レストラン鯛萬」を外から眺める。松本のお菓子やさん「翁堂」「翁堂茶房」は残念ながら土日は定休日だった。

甘いものが食べたくなって松本パルコの「5 HORN」で休憩。「上高地五千尺ホテル」で出されているケーキ、おいしかった。うん、やっぱり上高地にも行かなくちゃ。

駅弁と長野みやげのつけものをかかえて梓川に別れを告げ、特急「あずさ」で東京へ。紅葉にはすこし早いけれど、さまざまな顔を見せてくれた飛騨路の舞台。岐阜と長野(愛知そして山梨、東京への移動含めると五つ!)を山越えした旅行はこれにて無事終演となりました。


【ミスハタリ飛騨路を行く 2008/10/09-12】
1 岐阜「ダイワロイネットホテル」 2 秋晴れの高山「八幡祭」 3 飛騨古川「八ッ三館」 4 手垢の生活と白川郷 5 高山「スパ ホテル アルピナ」 6 安房峠越えて松本へ