線路の先のユートピア――さいたま「鉄道博物館」

万世橋駅にあった「交通博物館」が閉館し(→☆ 2006/05/08の日記)、しばしの空白ののちに大宮へと場所を移して鳴り物入りで開館した「鉄道博物館」。混雑盛況のうわさを聞き、落ち着いたころに行こうかと考えていたら、自分の身が落ち着かなくなり、あっという間に一年がすぎていた。このままではいつまでも行けやしないじゃないか! そこで、すべての仕事と作業と責任と家事を放棄して、埼京線の列車に乗り込んだ。目指すは鉄道楽天地!

大宮駅から鉄道博物館まではニューシャトルで一駅との案内もあるけれど、歩いたって大した距離ではない。なにより大宮駅に隣接する「大宮総合車両センター」のそばを通ることができるのがうれしいじゃないの。ここはJR東日本車両基地上越線の線路を跨ぐ大栄橋から、さっそく車両が見られます。その道沿いにも車両展示や写真展示がたっぷり。日本全国津々浦々で出会うことができるデゴイチ蒸気機関車の雄、D51)の保存車両もいます。

 
 

つばめのヘッドマークつきのEF58、モスグリーンの色味がかわいいな! と、博物館入口にたどりつくまでにすっかり興奮気味。

踊るような足取りで鉄道博物館に到着。足元には新幹線の時刻表。そして入口脇でもデゴイチがお出迎え。リースなどまとって、クリスマスの装いです。

 

Suicaをピッと鳴らして入場したら、まずは「ミニ運転列車」の予約を。「D51シミュレータ」の予約はすでに締め切っていたのが残念。やはり朝から臨まないと難しいかあ。と、さっそくまずは車両展示コーナー「ヒストリーゾーン」へ。広い館内に充実した展示! 列車って偉大だなあと身体で感じる展示。


 
 

鉄道博物館のホームページでは「見学時間は約二時間」とあるけれど、そんなんじゃまず足りない!

ドーンと交流区間用標準電気機関車ED75。赤いボディがオシャレよね。ヘッドマーク日本海岸を北上する夜行列車「あけぼの」! 四月の秋田旅でわたしが乗った「あけぼの」はEF81が客車を引いていました(→☆ ハタリ秋田旅日記)。

 
 

貨車もすきー、かわいいから。こちらには現物は無かったけれど、わたしは貨車の中ではホッパ車や石炭車が好き。今年の旅でも、釧路駅大館駅で見かけるたびにアドレナリンが出たね。都内だと深夜や早朝以外には貨車を見かけることはあまりないのが残念だけど、「働く列車」という無骨なストイシズムにはやはり心ひかれる。先日あそびにいった東十条の友人の家の近くには王子製紙工場への専用貨車の引き込み線路があってドキドキした。

センターには大きな転車台が置かれ、そのうえには蒸気機関車「C57 135」が鎮座している。一九四〇年製造、一九七五年には北海道で「さよならSL」の記念号として走ったという由緒正しき車体。きれいに磨かれ、主役のポジションで堂々と黒光りしている。無骨なD51デゴイチ)に比べるとまさに「貴婦人」。わたしは「オトコ一匹飾り気なし」というテイのデゴイチを心から愛しているのだけど、スタイリッシュなC57の舞台映えする優美さにもやはりクラクラする。館内にはD51、C57のほかにも、C51や、北海道開拓時代に活躍した7100形式蒸気機関車「弁慶」号もいる。

 
 

ノスタルジックな快感を誘うのは、この晩秋に役目を終えた「夢の超特急」、0系新幹線


 
 

丸っこい顔がキュート。新幹線が生まれた時代の熱気や愛情が伝わってくる展示の数々。子どもにとっても、大人にとっても、憧れの乗りものだったんだなあ。

国鉄」時代のマークはかっこいいよね。

予約していた時間がきたので屋外へ。「タモリ倶楽部」のてっぱく特集でタモさんがはしゃいで運転していたミニ列車の運転体験です。わくわく。埼京線武蔵野線成田エクスプレスなどをデフォルメした小さな列車を動かしてあそびます。簡単な操作なのだけれども、やっぱり夢中。

 

奥に目をやると、あ、わたしの好きなツートーンのカワイコちゃんが! 駆け寄ってみるとそれはキハ11。ひとつ目のライト、丸っこい窓がかわいい。


 

屋外でぞんぶんにあそんだあとは、ヒストリーゾーン二階の時間軸に沿った資料展示のガラスケースに張りついたり、企画展「電車特急50年〜ビジネス特急「こだま」からJR特急まで〜」で勉強したり、ジオラマショウ(HOゲージなので大きい)を観たり。

 
 

さいごに「205系山手線シュミレーター」を体験。電車の運転はむずかしいなあ! テンパリながら大崎駅〜品川駅間を運転。ブレーキをかける加減など、けっこうたいへん。へたくそなのでかなりデコボコと揺れてしまう。実写映像は昔のもののようで、すれちがう車両が103系なのがかわいい。

魅惑のグッズ売り場でアレコレと大人買いを終えたところで、「蛍の光」が流れて閉館の時間。滞在時間約六時間でもまだまだ足りないこの広さ。またあそびにこようっと。今度はデゴイチを運転するのだ!


【鉄道博物館】 埼玉県さいたま市大宮区大成町3丁目47番