北東北&北海道 冬のより道 6 冬の道央から函館本線山線へ

旅の朝はいつだって早起きだ。ここは函館駅前、すぐそばには朝市があるけれどいまは正月、河岸も港も当然お休み。パンと野菜ジュースで簡単な朝ごはんを済ませてホテルを出る。冬の晴れた朝。鼻のてっぺんがすぐに冷えて痛くなる。

函館駅のうしろはすぐ海なのだ。函館駅は終着駅で始発駅なのだ。函館駅8:14発。今日のお相手は北海道でおなじみの一両編成キハ40なのだ(昨日乗った八戸線もそうでした→)。


 

鈍行列車は長万部(おしゃまんべ)を目指すのだ。手にはしっかり青春18きっぷを握っているのだ。さあ、ひたすら鈍行列車に揺られて函館本線大回りルート(函館〜長万部〜小樽〜札幌)で札幌駅へ向かいます。特急列車のスーパー北斗なら東室蘭経由の室蘭本線を走るけれど、わたしの旅はやっぱりニセコ倶知安びいきなのだ。函館駅を出ると貨物車両基地のある五稜郭駅、うっとり外を眺める。客車もいいけど貨車もね! 働く列車って大好き! その後、桔梗駅を過ぎるとはらはらと雪が降ってきた。線路沿いには住宅地、庭の犬の顔が凛々しいけれどやはり寒そう。

函館本線大沼駅からふたつのルートに分かれるけれど、特急含めほとんどの列車は大沼公園駅経由の内陸ルートを走る。

 

二股になった線路は森駅でふたたび出会います。森駅9:45着。後続の特急に線路をゆずるため、なんと三十分も停車。この森駅がとても旅情たっぷりですてき! 晴れた午前の空と。線路すぐそばの海が爽快。列車から降りて駅の外に出てみれば、有名な駅弁「いかめし」のお店もあります。駅前の温度計はプラス五℃とあたたかい。

 
 

森駅は静かで、絵になる駅だなあ。いかめしだけの駅じゃないよ! 森駅10:14発。

 

石谷駅を過ぎると冬の太平洋沿いに走る。海の向こうにニセコ方面の山並みがうっすらと見えてきた。内浦湾をぐるりと回って、11:31に長万部駅着。ここから函館本線室蘭本線に分かれる。もちろんチョイスは函館本線、通称「山線」。マイ・ファースト・ランドスケープ羊蹄山方面へ。いったん駅舎まで出て改札を待つ。おなかがすいた。

 
 

長万部駅12:19発。今度の列車もキハ40。じつに強烈な鉄道ファンがいて辟易するも(どうして強烈な鉄道ファンのひとは、年下の女の子がちょっと列車にウットリしているのを見るとやたら偉そうに接してくるのだろう)、まあ、わたしも正月から列車に乗るのが目的の旅をしているわけだし、程度はちがえど出自は似たようなものなのかしら。車内の扇風機に国鉄マークを見つけてウキウキ。そうそう、あと、長万部の手前の駅で、水色に塗られたかわいい車両の駅舎があったのにもウキウキしたんだった。

長万部から山線に入ると、道南海沿いに比べてググンと雪の量が増える。

 
 

昨年夏に訪れた山なのに昆布駅、スキーといえばのニセコ駅、駅舎が宿になっている比羅夫駅、わたしが生まれた倶知安駅。山の天気は移ろいやすくて、長万部では晴れていた空は、ニセコが近づくにつれてうっすらと雪雲がかかり、堂々とした羊蹄山は望めなかったのが残念。メモ、長万部駅小樽駅間は左窓側座席に座ること。晴れていれば山並みや渓流など、起伏に富む景色が楽しめる、はず。

15:29小樽駅着。ここからは快速エアポート号に乗りかえてビュンっと札幌駅まで。いつも小樽築港駅の向かいのホームに停まっている赤い除雪列車が気になっているのだけれども、また写真を撮りそこねてしまった。札幌駅16:20着。

札幌駅のホームにポンッと降り立てば、これで二日間合計約二十時間に渡る大いなるより道はおしまい。正月からじつに充実した車窓と列車の揺れでした。ああ、今年もたのしい鉄道旅ができますように。旅の神様、よろしくどうぞ。



【北東北&北海道 冬のより道 2009/01/01-02】
1 正月パスと東北新幹線 2 ノスタルジック山田線 3 三陸鉄道、潮風と晴天 4 うみねこ八戸線、津軽海峡の夜 5 函館/ロワジールホテル函館 6 冬の道央から函館本線山線へ