北東北&北海道 冬のより道 5 函館/ロワジールホテル函館

函館駅の改札を出たらすっかり冬の夜だった。朝の六時にさいしょの電車に乗り函館駅着が夜の八時、とちゅうスムースに乗り換えがつづいたから、ほぼ十四時間ものあいだずっと列車に揺られていたというあんばいだ。新幹線や鈍行や特急列車。山の線路と海の線路、たくさんのトンネル。晴れた空と雪景色。一日でずいぶんといろいろなものを見た。その終着ホームが行き止まりというのも、すてきなハナシじゃない?

ホテルにかばんだけ預けて、空腹をかかえて外に出るも、元旦夜の駅前は閑散としていた。すこし歩いた先にみつけた飲み屋街「大門横丁」の小さなベトナム料理屋に入る。ビールとツマミを頼んで顔を上げると、外からのぞいたときにはヤイヤイと賑わっていた店内がシンとしていた。あれっ、もしかしてわたしお邪魔かしら。「いやいやいや! どうぞどうぞどうぞ!」。店内には小さなカウンタがひとつだけ。こういう小さな店はけっこう好き。以前に吉祥寺のハモニカ横丁焼鳥屋で働いていたときの感じを思い出す。カウンタの中のカワイコちゃんと、四人の男の子たちとおしゃべり。「俺も東京行きたいっすよ」「函館の駅前はすっかり寂しいけど、買物や遊びは五稜郭あたりでするんです」「というか、ほとんど札幌に行くっしょ」「えー、アタシは函館が大好きですよ。東京は、町が大きすぎて目まいがしちゃう」。小一時間でほろ酔いと満腹。男の子たちとオシャレなカワイコちゃんと店主に見送られ、駅前に戻る。旅先での行き当たりばったりの時間はなかなかにたのしい。


今夜の宿は函館駅前という好立地、「ロワジールホテル函館」

もとは函館ハーバービューホテルという老舗だった大ハコ系ホテル。今回泊まった部屋は低階層のシングルで、一泊素泊まり約五千円。部屋は洒落っ気も色気もあまりなく、昔ながらのホテルという印象。築二十年、部屋の改装も特にはされていない様子で、バスルームや空調機器などに古さが感じられた。外観やロビーの重厚な雰囲気を期待して泊まるにはシングルルームは弱くて拍子抜け(ツインや高階層の部屋はどうかわからないけれども)。しかし駅前の朝市もすぐそばというのはほんとうに便利。新興チェーン系ビジネスホテルならもっと安く、新しい部屋に泊まることはできるけれど、この立地と安心感は老舗ならではの財産。

【ロワジールホテル函館】


さて余談。元旦というこの観光のエアポケットのシーズン、せっかく訪れるのだからせめてどこかのカフェでお茶でものみたいなと思い、函館在住のナイスセンスなお友だち(id:splash06 さん)から教えていただいたのが、函館山そばの教会エリアにある「cafemountainBOOKs」。お店に電話してみたものの、営業時間やメニューの兼ね合いで今回は見送り。今度訪れたときにはぜひあそびにいきたいなとおもいます。


【北東北&北海道 冬のより道 2009/01/01-02】
1 正月パスと東北新幹線 2 ノスタルジック山田線 3 三陸鉄道、潮風と晴天 4 うみねこ八戸線、津軽海峡の夜 5 函館/ロワジールホテル函館 6 冬の道央から函館本線山線へ