グッバイサンキュー・マイ・オールド・フレンド 〜 「スタジオ・ボイス」休刊と寄稿

八月六日発売号でSTUDIO VOICEが休刊。この「Greatest Dead ゼロ年代ソウカツ!」特集では00年代に亡くなった著名人の特集が組まれ、そのなかでハタリは浅利芙美名義で平岡正明さんについての追悼文を書かせていただきました。

STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2009年 09月号 [雑誌]

STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2009年 09月号 [雑誌]

平岡さんの危篤の報とほぼ同時期に「スタジオ・ボイス休刊」のニュースを耳にして、「そうか、なくならないものなんてどこにもないんだ」とぽかーんとしたのだった。ここ数年、わたしは読者としてもこの雑誌から離れていたので、知ったような顔をしてセンチメンタルなことなんて言いようもないのだ。と、遠い国のできごとのように感じていたら、発売日の一週間前、銀座松屋地下の浅野屋(大好き!)を冷やかしているときに電話が鳴って、とうとつに平岡さんの追悼原稿を書くことになったのでした。この号はそんなタイミングだったこともあって、巻頭の菊地成孔さんと湯山玲子さんの時事放談でも、磯部涼さんの連載でも平岡さんの死について触れられています。

右となりではマイケル・ジャクソンについて松村正人さん、左となりではピナ・バウシュについて鈴木真子さん、すこし前のページではヘルムート・ニュートンについ富田秋子さんが書いています。わたしが編集部にいたころにお世話になった先輩編集者の方々の原稿の合間で、なぜかわたしが平岡さんについて書いているふしぎ。スタジオ・ボイスに二度と原稿を書くことなんて、まして本名の記名原稿を書くことになるなんて思わなかった。グッバイサンキュー、マイ・オールド・フレンド。読者だった十代のころから、いろんなことを教えていただいた雑誌でした。面白い記事も、どうでもいい記事も、こっそり勉強した記事も、鼻で笑っちゃうような記事も、それぞれがその効力を放つのはこれが「雑誌」だからこそではないかと、悪あがきのように「雑誌」の力をわたしは信じたい。リニューアルを重ねてずいぶんとヴィジュアルも変わっていたけれど、ひさしぶりに誌面を眺めていると色校やカンプを校正しているような錯覚に陥ってきて、すこし笑った。奥付のページには、赤ダーマトで「サラヴァ!」の文字。

スタジオ・ボイスは何かしらの役割を担った雑誌であったと思います。